ystkさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

世界一のサックスプレイヤーを目指し上京した宮本大はライブハウスでピアニスト沢辺雪祈と出会う。

原作読了済。ジャズの熱量、圧倒的な演奏に目と耳が喜ぶ良作。「音が聞こえてくる漫画」を映像化するプレッシャ
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.0

食人者の少女・マレンは生き別れた母を探す旅へ。そこで出会ったのは同じく食人者の青年・リー。

マレンが自分以外の食人者と出会った時に語った「自分だけだと思った」。本作は孤独を抱えたマイノリティの2人が
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

山頂からの転落事故、被疑者である妻を疑いながらも惹かれていく刑事。韓国ノワールやファム・ファタールを想定して見たら、意外にも真っ当な2時間サスペンスドラマ。動機とか合理性とか理解できない部分も多いし変>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

17世紀イタリア、神と対話できると言う修道女ベネデッタは神の使いか狂女か。同性愛の罪で裁判にかけられた修道女の実話をベースにした作品。宗教、同性愛、暴力、エログロなど小ネタ盛り沢山の怪作。ベネデッタの>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.0

高校銃乱射事件から6年、心の傷の癒えない被害者家族はセラピストのすすめで加害者家族と対話することに。ぎこちなく始まる二つの家族の対話、ワンシチュエーション、少しずつ見えてくる事件の凄惨さ。気力体力が削>>続きを読む

シャイロックの子供たち(2023年製作の映画)

4.0

メガバンクで起きた現金紛失事故、その裏に潜む陰謀。安心、安定の池井戸潤作品。TBS日曜劇場のような顔芸バトルは無いけど、最後までグイグイ引っ張るストーリーは面白かった。杉本哲太のパワハラと木南晴夏のイ>>続きを読む

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

3.5

ひょんなことから粒子世界に飲み込まれたアントマンとワスプたち、そこは征服者カーンに支配された世界。まんま「スターウォーズ」、「劇場版ドラえもん のび太の宇宙小戦争」。気楽で楽しいけど何も残らなかった。>>続きを読む

エゴイスト(2023年製作の映画)

4.2

母に献身するトレーナー・龍太に惹かれる編集者・浩輔、やがて愛し合うふたりの迎える数奇な運命。役者と制作者の覚悟が伝わる傑作。何より鈴木亮平に尽きる。役柄ゆえにプレッシャーも大きかっただろうに、徹底した>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

4.0

サイレントからトーキーへ、映画界の転換期に翻弄されながらも夢を追う男女。冒頭から怒涛の糞尿・セックス・ドラッグのオンパレード、倫理観のぶっ壊れた3時間超におよぶ問題作。何を見させられてるんだという気も>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.8

モスクワ発、ムルマンスク行きの寝台列車で同室になった見知らぬ男女。最悪な第一印象ながら長い旅の中で見えてくるお互いの本質。雪景色を中心に寒そうなシーンが多いけど、スマホの無い時代のコミュニケーションの>>続きを読む

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.8

父を殺した男への憎しみ、奴隷に扮した元王子による復讐劇。暴力!復讐!というシンプルなストーリー、野蛮な世界観、美しいアイスランドの風景、惹かれる要素が多くて楽しめた。蛮人しかいない中に際立つアニャの美>>続きを読む

すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

3.9

尊厳死を望む父と戸惑う娘たち、やがて来るエックスデー。好んで見たい題材ではないけど、オゾン監督の新作だし、と鑑賞したら、ユーモアと寂しさと優しさが入り混じった良作だった。自分には関係ないと言い切れない>>続きを読む

離ればなれになっても(2020年製作の映画)

4.0

幼なじみ4人の10代から50代までの40年を描く物語。おっさんの懐古映画と言えばそれまでだけど、着地点が良かった。喧嘩しても疎遠になっても、縁があればまた会える、問題の多くは時間が解決すると言うメッセ>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

親友から告げられた突然の絶縁、アイルランドの孤島を舞台にした人間模様。「スリー・ビルボード」の監督だけあって、めちゃくちゃ面白い。対岸のアイルランド本土の内戦と狭いコミュニティのいざこざ、遠くて近い人>>続きを読む

ピンク・クラウド(2021年製作の映画)

3.5

10秒で人を殺す毒性の雲が発生した世界、外出できず蝕まれる心と人間関係。人と会えない、オンラインでしか繋がれない世界は2020年のコロナ初期を彷彿とさせる。絵作りや世界観は「ビバリウム」にちょっと似て>>続きを読む

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

3.5

チャイ売りの少年は映写技師との交流を通じて映画の裏側に想いを馳せる。インド版「ニューシネマパラダイス」のように見せかけて別モノの怪作。彼が興味を持ったのは監督業ではなく映画の仕組み、光と屈折。予告編詐>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.0

ハリウッドの性加害の実態を暴いた2人の女性記者の実話。エンタメに寄せず誠実に正義に寄り添った秀作。ハーヴェイ・ワインスタインという巨悪、さらに性加害者が守られる構造的な問題に踏み込む。キャリー・マリガ>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.0

モリコーネ自身と関係者70人以上が語るその半生。かつて芸術的地位が低く見られた映画音楽制作の葛藤やコンプレックス、そこから悲願のオスカー受賞、知っていたことも知らないこともエピソードと共に映画館の音響>>続きを読む

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)

3.5

恋人、友人、先輩、家族から逃げ続けた男、その先に待つもの。クズ男の因果応報ロードムービー。ちょっと共感したり、反感を覚えたり、示唆に富むセリフにハッとさせられたり。藤ヶ谷太輔演じる主人公がなぜ今に至る>>続きを読む

ひみつのなっちゃん。(2023年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

死んだ友人・なっちゃんの葬式を目指すドラァグクイーン3人のロードムービー。クィアの描き方が10年(20年?)くらい古いのと、セリフにキレが無い点を除けば、頭を空っぽにして見れる。でも、このキャストと題>>続きを読む

ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

4.1

ウェールズの田舎町、変化のない日々を送るジャンが閃いたのは競走馬を育てるという夢。笑って泣けて悪い部分の見当たらない良作!ジャン役トニ・コレットの名演、ジャンに感化される村人たち、白熱のレースシーン、>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

3.8

仁川発ホノルル便で発生したバイオテロ、感染リスクで混乱した機内の人間模様と地上で奮闘する人たちを描くパニック大作。やたら好戦的な日本の自衛隊やノーマスク&素手で救護活動をするCAたちにツッコミ入れつつ>>続きを読む

ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY(2022年製作の映画)

3.6

奇跡の歌声を持つホイットニーの半生。「ロケットマン」や「ボヘミアン・ラプソディ」もそうだけど、優れた歌手はドラッグとパートナーに翻弄されがちで、そのトリガーは孤独。ショウビズ界で健全であり続けるのは無>>続きを読む

かがみの孤城(2022年製作の映画)

4.0

突然放り込まれた鏡の中の世界、そこで出会った少年少女に課せられた使命。いじめ問題やヘビーな展開に対して、立ち向かう以外の選択肢を提示しているのが良かった。「たかが学校」、この視点の有無が人生をどれだけ>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

3.8

ただ自分らしく生きたいだけなのに、余計なお世話で干渉される主人公、それでも社会に適応しなければいけない現実に共感を覚える人も多そう。作品自体はアセクシャルの手引きのようなわかりやすい内容だけど三浦透子>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.8

生まれつき耳の聞こえないボクサー・ケイコと彼女を支える家族、ボクシングジムの仲間たち。いくらでもエモさに振れる設定なのにそうはせず淡々とケイコの日常を描く。生活音、打ち付けるミット、ケイコに届かない音>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.1

リアルタイム世代でジャンプも購読していたからキャラクターやストーリーも把握していたけれど、当時は周囲の熱狂に対して乗り切れなかった。そんな自分でも手に汗握りしっかり感動したので、自分が作品に追いついた>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

4.0

ストーリーだけで言えば2時間くらいにまとめられそうなものだけど、圧倒的に美しい映像で190分飽きることなく楽しめた。良いスクリーン&シート推奨。映像が素晴らしい、メカが格好良い、ネイティリ強すぎ、人間>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.5

元夫の転落死の瞬間を目撃したハーパー、心の傷を癒すために訪れた田舎町で遭遇する奇妙な出来事。悪夢の再現映画であり、女性たちの置かれたリアル。前半の美しい映像から後半の地獄絵図まで監督の美学が徹底されて>>続きを読む

泣いたり笑ったり(2019年製作の映画)

3.9

父親同士の同性再婚を巡り、認めきれない家族は破談を画策する。面白かった!BLから程遠いお爺ちゃんとおじさんの恋愛はタイトル通り悲喜交々。含蓄に富むセリフも結構多くて、日々のモヤってる部分の少しが解消さ>>続きを読む

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ(2021年製作の映画)

3.8

「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」を見た。最愛の妻との出会いと別れ、残された猫たちとの日々。親代わりとして妹たちの生活を支えるルイス・ウェインの困難な人生、最愛の妻との思い出が悲しみとして残り続>>続きを読む

ブラックアダム(2022年製作の映画)

3.7

5000年の封印から解かれた破壊神アダムとスーパーヒーロー軍団・JSAの攻防、やがて明かされるアダムの真実。ドウェイン・ジョンソンが大暴れしてるだけの作品だけど、小難しい事を抜きにして楽しむのにちょう>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.2

失った息子の身代わりとして命を宿した木彫りの人形ピノッキオ、ファシズムに染まる戦時下のイタリアを舞台にした生と死の物語。神がかったストップモーションアニメはキャラクターに命を宿す。ただ凄かった。デル・>>続きを読む

ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

3.9

少女が見たのは母親の隠された過去。香りが呼び起こすタイムリープの悲劇。

設定、ストーリー、考察、楽しみどころの多い作品だけど、何より心奪われたのはクィア描写。他者が介在する余地のない「人が人を愛する
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ボクらのホームパーティー(2022年製作の映画)

4.0

とあるゲイカップル宅で開催されたホームパーティーは恋人、友だち、初参加者、あらゆる人々を巻き込み予想外の展開へ。笑って泣いて怒って、いい大人たちの感情も乱高下。映えないホームパーティー、雑な肉体関係、>>続きを読む

ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界(2022年製作の映画)

4.0

生き別れた冒険家の父へのコンプレックスから農夫の道を選んだ息子サーチャー、世界崩壊危機を前に再び冒険の旅へ。ポリコレ全配慮の優等生的な側面もあるけど、しっかり面白い。「多様性の押し売り」と叩く意見もな>>続きを読む