ヒムロ

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズのヒムロのレビュー・感想・評価

4.8
歳の離れた妹アビーと2人で暮らす兄マイケルは、補助金目当てにアビーの親権を奪おうとする叔母に裁判沙汰にすることを脅されていた。
過去に弟を目の前で攫われたトラウマが原因で仕事を失っていたマイケルは、不本意ながら職業案内所に紹介された夜勤の仕事を始めることにする。
しかし「Freddy Fazbear's Pizzeria」で夜間警備の仕事を始めると毎晩見ていた「弟が攫われる夢」に変化が起き始める。
夢を通じて弟を誘拐した犯人を探す事に躍起になっているマイケルの元へ、ピザ屋の廃墟の管轄範囲の警察だというヴァネッサが現れ、店とアニマトロニクスについて忠告をしていく。
廃墟と化したピザ屋に隠された真実とは、弟を誘拐した犯人は一体誰なのか。



海外と2ヶ月以上公開にラグがあったせいでネタバレを踏まないように生活するのが大変だった。
しかし映画館で見る価値のある映画だった。

日本語対応している作品がほとんどないのに日本でも超有名なホラーゲーム「Five Nights at Freddy's」の実写映画化。
原作者スコット監修の元、ファン悶絶物の一作になっている。

本編中ではほとんど明確な事が明かされず、後に出た英語のみの小説版などと合わせて考察する事によってのみストーリーを知れるのがゲーム版FNaFの人気の理由の一つであると思うのだが、本映画はゲーム世界線とは違うIFストーリーでありつつ、考察勢への答え合わせ的な側面があるファン心理に寄り添った映画になっている。

ヴァネッサやBB、ベイビーなどといった他作品とのリンク要素から、It‘s meの幻覚なども含めてどこまでもファンサービスがたまらない。

ホラー映画として見た場合、恐怖要素はかなり少なめ。
予想に反して年齢制限もかかっていないほどグロ要素もないが、ちょっとだけ痛い描写はある。
原作がジャンプスケア中心のゲームなので恐怖演出もジャンプスケアがメイン。
個人的にはジャンプスケアに頼ったホラー映画は評価渋めなのだが、本作はむしろ原作再現的な側面があるのでジャンプスケアが来ると両手を上げて喜べるのは面白い。

映画化に際して一番気になっていた、何故命懸けの仕事に毎日来るのかというところがきっちり理由づけされていたのも良かった。
反面、監視カメラを見ながら扉を閉めて対抗するという要素は映像映えしないので完全カット。
個人的にはラストバトルにちょこっとでもいいからそういう展開は欲しかった。

ファンサ要素強めで実写化映画としては最高の出来だったが、ホラー要素は少なく物足りなかった。



追記
めちゃめちゃ評価が悪くて悲しいが、それは妥当。
原作ゲームをきっちり隠し要素までコンプリートした上で、英語の小説などを含めた内容から考察をしまくっていたFNaFマニアだけが楽しめる映画だった。
そういう人以外は見ても普通のホラー映画以下の感想になるのは必然で仕方ないことだと思う。
それが興行する映画として正しいかは分からないが、ゲームの実写化という点においてはファン第一で非常に素晴らしい映画だった。
ヒムロ

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