マさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.7

窓に付いた水滴や繋いだ手 割れるグラスから(化学が殺人の為に発展している以上)直接世界の崩壊を視覚的に感じ続ける 怖過ぎるオッペンハイマー視点を映し続ける前半 から後半、実験のシーン以降から明確に 特>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.4

ゆっくりしっとり優しく(主に非移民?「アメリカ人」以外のアイデンティティを持たないアメリカ人に)突き刺す移民のリアルと、人生は理想では成り立たない という事実。対岸から見つめるだけじゃ分からない 24>>続きを読む

アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.5

映画がドキュメンタリー以外の方法で枠を超える方法、本当に暴力をやる。植民地支配は殺人で、ソレに対する抵抗も...ならそれらをただただ映した時、とてつもない圧力の暴力が永遠と流れる以外にあんま道が無い。

フューネラル(1996年製作の映画)

4.4

一見 ビックリするくらい地味な画や話運びの中で、徐々に現れてくるギャング(男)達の地獄。自分達の葬式。映画を引っ張るのは唐突に暴走するクリス・ペンと暴力だけ。基本全員ボソボソ喋り 演技の細かい所は自由>>続きを読む

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.5

ここ数年で「日本は完璧な法治国家だから😅」と語る人をよく見るようになったけど、アメリカも含め 死刑制度のある国において司法が絶対的に完璧であると盲信する事(というか個人的には死刑そのものから否定したい>>続きを読む

ゼロ・モティベーション(2014年製作の映画)

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結局戦争なんて男だけが男達で抱え込んでるモノであり、そこから弾き出される女性にとっては 国のしてる事なんてあまり関係が無い。関係がない故に、民族浄化 パレスチナの人々を殺戮する事の正当化を簡単に受け入>>続きを読む

アルプス(2011年製作の映画)

4.2

自分の人生を自分で生きる という一番めんどくさいコトをどこかの誰かに任せる作業 としての演技と映画鑑賞。もしくは 死による悲しみや苦しみをかき消せると信じ 前を向かずにどんどん後ろに後退していく作業と>>続きを読む

ZOO(1985年製作の映画)

4.2

死の悲しみとか苦しみから逃れるための作業って 所詮紛らわす為の作業だし、本人たちが自分にソレを行っても 少なくとも映画(🐌)がその達成を許すことは無い。

マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

4.2

"異常な環境の変化"によって生き延び方を変えざるを得なかった人(貝)々と、ソレを リアルではなく神の視点から記録しようとする、カメラを持つ側の人間に向けた 「普遍的な孤独のストーリー」という形での批判>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.5

徹底的な作り物の中にしか自分の本当の苦しみを表現することができない作り手達。でも、ソレを明確に表現したシーンは(フレンチ・ディスパッチにおけるジェフリー・ライトの様に)カットしてしまう。明確に苦しみを>>続きを読む

プロスペローの本(1991年製作の映画)

3.9

ありえんくらいカビ臭い劇を そのカビ臭さを越えるパワー(子供が永遠に小便をし続け、小便?で満タンになったデカいプールを海や嵐の象徴として使用する 等)でゴリゴリに描く。ただカビ臭い事には変わりないと思>>続きを読む

質屋(1964年製作の映画)

4.6

ホロコーストの苦しみを ただただ単純に過去のものとして、その当事者だけが完全に1人で抱え込むものとして描いては絶対にいけない という意識から溢れ出る"現在"の厳しいフラッシュバック。
思考を放棄して資
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数に溺れて(1988年製作の映画)

4.3

頭から数の話をずっとしてるし意味深に数字が出てくるから ついつい画面の中に現れる数を探しながらみてしまう けど、劇中で数やゲームにこだわる男達は次々と死んでいく。そういう罠?

アンチヴァイラル(2012年製作の映画)

4.5

「ヴィデオドローム」におけるピアッシングのシーンを無理やり拡張し続けるような感覚で、人々の俗的な 言うなら「ログインしてないYouTubeのオススメ欄」的な俗悪性によって軽々しく倫理を越える社会。>>続きを読む

セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身(1966年製作の映画)

4.5

人生における"自己決定"なんて60年の時点で死滅してるという事実。システムとしてやってくる"生まれ変わり"に流され、鎮静剤を打たれた状態で話した「理想」が人生へとハメ込まれる。自分の人生の不満を話し(>>続きを読む

ダイアリー・オブ・ザ・デッド(2007年製作の映画)

4.5

常にこの世の陳腐な資本主義や公民権運動等を意識し、"ザ・クレイジーズ"ではベトナム戦争に対する猛烈な皮肉を "死霊のえじき"では冷戦から軍事主義へと傾倒していくアメリカの緊張感を "ランド・オブ・ザ・>>続きを読む

ありふれた事件(1992年製作の映画)

4.4

殺人と映画撮影で世界を掌握した気になってるチンケな男達。殺人鬼として何か深い考えがある訳でもなく、その場の流れと金目当てに殺人を繰り返すブノワに着いていき 共犯者にもなる撮影クルー ブノワが自分の行為>>続きを読む

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

4.5

悲惨 だけどどうすればいいか?なんて何を言ったって欺瞞にしかならない様な気がして、結局まなざすべきなのは 元凶でもある政府と警察?

そのリアルに生きながらも ひとつの浮いた視点を持っていた主人公だけ
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憎しみ(1995年製作の映画)

4.5

鋭いセンスで描くフランスの地獄 だけどコレを見てると、ここまで問題化すらしない日本国内の方も充分病んでると思う...

社会 警察や政府の腐敗を感じ取りながらも、その苦しみをどうにもする事はできないし
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ザ・テロリスト(2009年製作の映画)

4.1

社会が何かしらの問題を抱えていることは認知しているけど、ソレを勉強したり冷静に捉える能力が徹底的に枯渇してる(から 自分の人生も乾いたモノにしか見えない)故に 目先の問題を潰せば大きな問題が解決すると>>続きを読む

キング・オブ・マーヴィン・ガーデン -儚き夢の果て-(1972年製作の映画)

4.2

つまらない 意味の無い人生や生活から脱出する事なんて、その願望こそが1番虚無。指定されたプロットに沿って生きるしかない、チャーリー・カウフマン的な鬱傾向の原型?

ブリングリング(2013年製作の映画)

4.1

男性的な生き方を選ぶ事が出来ない青年の "Bitch"としての生存方法 と、元から恵まれた環境にいながらも どこか鬱憤を抱えている人々(ソフィア・コッポラ自身?)の苦しい生存方法。まぁホームスクーリン>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.2

高層ビルから沖縄を見渡そうとする日本人と、ソレをさらに高い位置から見下ろす... そもそも舞台が沖縄である以上決して無視はできない(無視してはいけない)要素を 1番破壊力のあるタイミングで見せつける。>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.8

再鑑賞

80年でも90年でも100年でも、人生全部の年月を無駄に過ごすきっかけというのは、"自分でその道を選ぶ"のでは無く、最初から 社会に自己が存在してる時点でもう待ち構えている。から 死に物狂い
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21グラム(2003年製作の映画)

4.3

登場人物が前に進もうとすると、映画の時系列はその後の絶望に飛んでいく。結局、問題やハードルは過去から現れる以上、前を見ているだけでは前進できない 人々もいる。自分の絶望を何度も描くイニャリトゥ自身がそ>>続きを読む

ボディ・ダブル(1984年製作の映画)

4.3

被写体に触れようとした結果 自分の闇に向き合わなければならなくなるインセル。

被写体としての自分がダメだから、映画を撮るモノとして他人をコントロールしようとする。というのは、多少こじつけ感はあるけれ
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ストーリーテリング(2001年製作の映画)

4.4

視聴者を一切信用してないのか、最初に主なテーマをガッツリ説明してから"映画"を始める変な構成。現実の醜悪さ、美しさを含む複雑性は、それぞれが(良い意味でも悪い意味でも)内面化して生きているハズなのに、>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.5

"ファム・ファタール"の本人にとって、ソレは"ファタール"でも何でもない というか、ファムファタという言葉は基本的に、近年では、その対象を把握してコントロールしたい男性の八つ当たりとしか使われていない>>続きを読む

ヒート(1995年製作の映画)

4.3

いい歳して銃で遊んでるジジイなんてガキか馬鹿かキ○○イしかいない というのを ソレを理解してるオジサンが描くのに、微妙な図々しさを感じる。別に自覚できているからと言って、オジサンが周りに迷惑かけさせケ>>続きを読む

ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)

4.4

地獄への道は割と元から開けてる というか、無邪気な行いから いとも簡単に地獄へと突き進んでしまう。だから、"クリスチャン"は完全にマヌケとして描写され Burzumの神格化を徹底的に否定する。"アマデ>>続きを読む

ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

4.3

自分が過去に仕掛けた波状攻撃(クソ男)によって崩壊していく精神と日常。ソレを1人ずつ処理していったとしても 自分だけは処理できない のは確かにそりゃそう。ある意味 最後の処理も合理的?

最後の誘惑(1988年製作の映画)

4.4

例えば、今現在でも神や精霊、祖先から「選ばれた」人々は、自分がなぜ選ばれたのか、なんでソレと向き合って人生の歩まなければならないのか 多くの悩みを抱えつつも神との関係を築きながら生きている。とする>>続きを読む

息もできない(2008年製作の映画)

4.2

自己犠牲でDV父を壊す 韓国映画曰く 韓国における家父長制は本当に酷い。でも自己犠牲だって身勝手じゃ?「自己犠牲」で何かを変えれるのは男だけ。

ある結婚の風景(1974年製作の映画)

4.5

ちゃんと自分で立ち向かわなければ、あっけなく人生の大切な時間は赤の他人の為に費やされる。妻の母親が見せる表情は アンドリュー・ヘイの"さざなみ(45 Years)"のラストシーンに匹敵する程怖い。>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.4

映像と録音から真実を見つけ出すことが出来る という勘違いの中でしか生きられない現実。

ラース・フォン・トリアー作品とかは特によくあるけど、作品の登場人物の言動やストーリーを その作者の現実として 本
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