この物語は、確定した破滅を前にして、人がどう生き、どう死ぬか、という、終末ものの一種である。
何かしらの原因で、人類の生きられない星になりつつある地球(勝手に核戦争かな?と想像した)。極地に老人が一人>>続きを読む
数学も物理も苦手なのに、SF好きなので、難解な概念は、ニュアンスで何となく理解して遣り過ごす。
タイムスリップを説明する時、よく、時間がレコードに例えられる。刻まれた溝を針が辿るのが時間の流れとすれば>>続きを読む
この映画には、2つの核となる場所と、1つの主軸となる出来事がある。
1つは、タイトルにあるロシア料理店。新しく雇われたマネージャーのマークを中心に、スタッフ達、常連客達が出入りする。
2つめは、教会。>>続きを読む
ポスターの雰囲気や粗筋から、叙情的で小洒落た大人の恋愛物語と勝手に想像していたら、思いの外表現や内容が現代風で、ちょっと意表を突かれた。
原題は『Deux Moi』、二人の私。文字通り、二人の【個体>>続きを読む
『女性同士のダンスカップル』のお話と聞くと、昨今注目のLGBTテーマかと思いがちだが、一味違った。
ジェンダーレス的表現もあるけれど、要は、同性、異性、恋人、友人、家族、職場…。関係性はどうあれ、お互>>続きを読む
初端から、ブロードウェイのミュージカルシーン。ギンギラのステージ衣装で、大勢のアクター達が、スクリーン狭しと歌い踊る。テーマはLGBTと現代風なれど、古き良きミュージカルの香りがプンプンする。
新作>>続きを読む
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第二次世界大戦。ドイツ軍の進行、パリ陥落後、フランスは親独政権が樹立。休戦協定が結ばれ、ドイツの占領下に置かれた。パリに近い北部では、大量のユダヤ人強制収容が行われた。占領軍への反感も根強く、レジスタ>>続きを読む
ナチスドイツのユダヤ人弾圧をテーマにした物語は数多くあるが、こういった形の受難もあったのだと知らされる。
1933年、ユダヤ人で反ナチス派のケンパー一家は、次の選挙でのナチスの台頭を恐れ、いち早く国>>続きを読む
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表現するということは、対象について観察し、考察し、寄り添おうとする事だろう。【形】の把握から、【本質】の理解まで。本当の美しさも、醜悪さも、深入りしなければ解らない。近寄り、共感し、愛で、時に憎む。対>>続きを読む
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遥か昔に見たアニメの微かな記憶しかなかったので、一応ウェブであらすじなど辿ってみた。だいぶん変更、簡略化されているようだったが、どうやら原作は、主人公の身の上が二転三転、長く複雑な物語。限られた時間に>>続きを読む
『シラノ・ド・ベルジュラック』については、"鼻の大きな男の片恋"程度の知識だったが、問題なく楽しめた。
劇中劇もの、架空の世界を完成させていく、というプロットが大好きなので、もうそれだけで、私の評価>>続きを読む
このところの封切り映画にアニメの割合が多いように思われるのは、コロナ禍にあって、生身の俳優やスタッフを集めたり移動したりせざるを得ない実写に対し、制作上のアドバンテージがあったという事なのだろうか。こ>>続きを読む
妖怪人間ベムがリメイクされていたとは知らなかった。子供の頃、オドロオドロしい絵柄と色味に少し怯えながら、原作アニメを見ていた世代。昔のアニメって、ちょっと怖めな感じの多かったよね…。
同世代の方は皆>>続きを読む
『ブレッドウィナー』以来、カートゥーン・サルーンのケルト三部作が気になっていた。前作はまだ見れていないが、今作は劇場公開の機会に巡り逢えて嬉しい。
題材は世界各地に残る獣人の伝承。肉体ごと変化したり>>続きを読む
実在の画家をモデルにした話である事も、その画家についても知らず、フィクションとして鑑賞した。
戦時戦後のドイツにおける様々な悲劇と芸術家の苦悩の物語だが、サスペンスやラブロマンス、青春映画のテイスト>>続きを読む
物凄く恐い映画だった。始終ゾワゾワしながら見ていた。狂ったものしか出てこない。狂った人間、狂った世界。でも「私は少しも狂ってなどおりません。きっとそれが、狂っているという事なのです」
善悪も正誤もど>>続きを読む
中国に母を残し、アメリカと日本で各々暮らす兄弟家族。母が癌で余命僅かと知り、兄の息子の結婚式にかこつけて、母には事実を秘密にしたまま、中国での親族一同大集合を目論む。が、弟の娘のビリーは、アメリカ的価>>続きを読む
第二次世界大戦中、ナチスドイツ併合下のオーストリア。ヒトラーの思想に賛同できず、軍召集を拒み、罪に問われた農夫の姿を追う。
戦争もの、伝記ものというよりは、非常に内面的、哲学的な側面を感じた。
中盤>>続きを読む
いやぁ、久々にちょっと前までのインド映画のイメージまんまの作品を見た。
歌!踊り!愛!
歌!踊り!正義!
歌!踊り!人情!
力業満載、お約束展開ご都合主義当たり前、突っ込み所だらけなんだけど、冒頭から>>続きを読む
事故で半身不随となった台湾人チョンインの元に来た新しい家政婦は、フィリピン女性のエヴリンだった。広東語が解らず意思疎通も困難な彼女に、最初は苛立ちを感じていたが、家族とも疎遠なチョンインに情深く接する>>続きを読む
タイで偽札使用の罪で逮捕されたレイは、香港警察に身柄を引き渡される。警察は、偽100ドル札事件の犯人グループへの関与を彼に問い質し、グループのリーダー『画家』についての供述を迫る。『画家』による粛清を>>続きを読む
凄くフレッシュな感性を感じた。映像のポップさや瑞々しさも勿論の事ながら、生きたいように生きる事への肯定感、踏み出して世界を広げる事の重要性、多様性への寛容などの、考え方、センスが、とても現代らしく若々>>続きを読む
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第一次世界対戦の最中、イギリス軍の一兵卒であるブレイクとスコフィールドは、最前線の部隊へ、明朝までに戦闘停止の命令を伝える任務を受ける。間に合わなければ、ドイツ軍の待ち伏せにより、甚大な被害が予想され>>続きを読む
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色褪せて赤茶けた大地、乾いた青空、廃墟のようなオブジェ、立ち並ぶ十字架、ゴシックな装いの女。何処を切り取っても、アート作品のように美しく完成されたビジュアル。
世界背景は詳しく語られない。ディストピ>>続きを読む
優しい夢を見ているような映画だと思った。展開が唐突だったり、ご都合主義に思えたり、整合性が合わない気がしたり、何も具体的な解決の見えないふんわりした結末だったりも、夢を見てるのかもしれないなぁと思えば>>続きを読む
大道のコンゲームもの。展開は大方想像がつく通り。
二人の国宝級ベテラン俳優の、偽りの人格を演じるという【演技】は見応えたっぷり。メイク等の助けはあるといえど、姿勢や仕草、表情で、年齢さえも一回り二回>>続きを読む
フランスの作家、ロマン・ガリの自伝を元に、彼と母との関係を描いた作品。
とにかくドラマチックで物語向けだなぁというこの人物の経歴。フランス外交官を勤め、文学賞を2度受賞し、映画監督でもあったようだ。>>続きを読む
ミステリーは、少し奇っ怪でほの暗く不可思議な、横溝系の作品が好きだ。そのせいもあるだろうが、この作品は私にはちょっと物足りなかった。だってOPの、不気味な洋館と犬のシルエット。どうしたって、パスカヴィ>>続きを読む
テリー・ギリアムの真骨頂。若干の難解さ、癖の強い悪夢的ビジュアル、際どいギャグセンス。受け手を選び、評価のバックリ分かれる作品だろう。
灰汁の強さも難解さも、この監督にしては比較的マイルドと思えたのだ>>続きを読む
ミュージカルが好きで、一時期は幾つか舞台を見に行ったり、CDを買い漁ったりしていた。
初めて予告編を見た時、えっ、何故最も映画に向かなそうなこの作品を映画化した!?と困惑した。
色々な猫の性格や行動を>>続きを読む
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第二次世界対戦終戦間近のドイツ。10歳のジョジョ少年は、架空の友達『アドルフ』と対話し、ヒトラー親衛隊に憧れてユーゲントに参加する【ごく普通の】男の子。子供の目線から戦時下ドイツの歪みを描く、新鮮な切>>続きを読む
作品の主張も、表現も、極めて明確かつシンプル。
ステレオタイプからはみ出した人間に対する偏見、話題性に飛び付き煽るだけのメディアの無責任さ、暴走する権力の醜さ恐ろしさ。
誰もが声高に我を押し付け、情報>>続きを読む
イギリスコーンウォールを舞台に、漁師仲間が歌うカントリーソングが、アルバムヒットチャート入りを果たしたという、実話を元にした物語。
連合王国であるイギリスの、地方の独立心や誇りの高さ、地元愛の強い気質>>続きを読む
家であまりTVを見ないのだが、和洋問わず歴史物が好きなので、『ダウントン・アビー』は、偶然見合わせた時などに飛び飛びでつまみ食っていた。貴族一家と使用人の、かなりドラマチックな偶像劇。日本で言うと朝ド>>続きを読む
下町の半地下に暮らす失業者家族と、高台のお屋敷に暮らす富裕層。韓国社会の経済格差への問題提起作という見方もあるようだが、それが主題かと言うと、 うーん、と首を捻ってしまう、『ジョーカー』を見た時のよう>>続きを読む
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バイオレンスや流血が苦手なので、殺人者ものはあまり見ないのだが、暴力シーン少なめとのレビューを拝見してチャレンジ。
成る程、大半が法廷劇や心理描写で、衝撃映像控えめ。サイコホラー的な怖さはあれど、ビビ>>続きを読む