いめーじ

魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~のいめーじのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

凄すぎる。何言っても何やってもおもしろすぎる。

OPもEDもかなり良い。どちらもアノスが王座に座る姿から始まっている。

心臓の鼓動や目のまばたきだけで爆笑させてくれる作品があるか?

最強すぎて戦闘はほとんど棒立ち、セリフは偉そうなものばかりだというのに大好きになれる主人公がいるか?
いやいるかもしれんが…それでもこの御方は別格だ。

サーシャへの「お前の魔眼が綺麗だった」、エレオノールへの「お前を俺の魔法にした」といった最高すぎるイケメン台詞は、わざとらしいクサめのいやらしさを感じさせつつも、その言い回しの上手さには感心するしかなく、器のデカさを示してきた積み重ねによる説得力もあって、偉大なる魔王の威厳を損なうことはなかった。その他多くの名言は、わざわざ並べて語るまでもないだろう。この作品のセリフは本当に頼もしくて、優しくて、バカで、深淵を見据えているのだ。公式もそれを理解しているようで、配信サイトにある各話のあらすじに必ずセリフが入っている。

明るい両親に愛されまくって良い息子として親孝行している姿は、都会の大学に行くド田舎の希望みたいな雰囲気で、この手の作品では珍しい特徴だと思うし、生後1ヶ月だし、魔王でありながら勇者カノンにゆかりのある人たち以上に勇者の理解者ヅラをしたり、勇者に敵わなかった事もあると認めていて、最終的に元カノンのレイと約束通りに友情を築いてしまう常識破りの展開が熱すぎる。13話での憎しみの断ち切り方も完璧でグッとくる。後半は少々かっこよすぎるので、二千年前の鉄板ジョークをもっと披露して欲しかったかも。

逆にアノスのキャラがお気に召さなければ、全体的に楽しむ事は困難と言えてしまえるピーキーさがある。第1話だけはやってることが引くくらい凶悪なので、1話で切られやすくなっているのは非常にもったいない。
 
でもヒロインはただただ素晴らしい。
ミーシャは銀髪で胸がデカく、おとなしい性格と立場の弱さから周りの視線が冷たくて、秒で一緒に居たいと思わせる魅力しかない美少女だ。4話までは誕生日に消えてしまう儚さを纏っていて、それも良いのだが、アノスに救われて真の姉妹となったサーシャと打ち解けてから見せる尊い笑顔は素晴らしかった。11話でメッタ刺しにされるシーンは苦しい気持ちになるけれど、むしろサービスシーンのような見せ方だったように思える。あれはエロい。

サーシャは顔は良いけど単純にミーシャの方が好みだし、まぁ二番手って感じですね…と思っていたのだが、その時の俺はまったく深淵を見ていなかった。普段のお高い口調やドヤ顔と、アノスに何か褒められるとすぐに顔を赤らめるピュアでチョロい一面のギャップは萌えの極地。忘れられないシーンは目を褒められるとこ全部と、9話の「ふーん…」や11話のドヤドヤ魔眼とか、13話の「おあいにくさま」だね。

ミサもかわいかったし志が良いキャラだったけど、レイとのカップリング感が強すぎて特に言いたいことが出てこない。

勇者学院のエレオノールは語尾のおもしろさと胸の大きさが最高だぞ。

ゼシアは見開いた光の無い目と、根源を掴まれた時の表情が最高だった。一万人はすげーよ。

ファンユニオンは推しのためなら勇敢に動ける強いファン。モブに見えるが主人公のアノスがしっかりと認識するし、それぞれが名前を呼ばれたシーンではこちらも感動するしかない。「馬鹿げた歌」「聖なる魔法を愚弄するか!」などと言われがちで笑ってしまうが、無理矢理に応援歌をブチ込む流れは天才すぎるよ。

エミリア先生はなんとなく某催眠エロ漫画に出ていそうな顔で、バリバリの差別ガチ勢という困った女。アノスに殺されそうになって怯えたり、強制的に混血として転生させられてから全裸でアノスを睨みつけていた姿は最高。その後の再登場は無くて惜しい存在だったが、臨時で入ったメノウ先生も顔が良いし性格はマトモで親しみやすさもあったので、変わって良い事しかなかったな。

もちろん男キャラも熱い。
レイは母親想いで紳士的でもあり、立場を気にせず飄々と振る舞えたり、13話で見せたような熱い愛と正義感もあって、アノスに劣ることのない魅力に溢れていた。

偽魔王の正体がカノンであろうことは普通に予想してたけど、レイの正体までカノンにするとは思わなかった。
レイがアノスの配下の転生者なのか勇者なのかのミスリードは長すぎたように思える。

首席のリーベストはポッと出でアノスの引き立て役でしかない存在かと思いきや、メノウ先生との信頼関係は良かったし、純粋にアノスを嫌い、アノスを信じる者達とは違う方向で魅力的なキャラだった。途中から影薄くなるけど。

ラオスは嫌な奴だったが小物感強いセリフはちょっと好き。

七魔皇老はアノスとの長い繋がりがサーシャ達の忠誠と違った良さがあって悪くはなかったけど、最終話までパッとしない存在感だったなぁと。まぁそういう部分の不足は尺の問題で仕方ないのだろう。マイナスにするほどではない。

キャラだけでなくアニメとしてのおもしろさも凄まじく、1~4話、5~8話、9~13話の三章構成で1クールの満足感が非常に高い。
4話と13話に流れるアノス様ver.のOPは不安を全て消し飛ばすかっこよさ。
7話はファンユニオンによる「アノス様応援歌合唱曲第二番」と「ちょうど1分だな」でアニメも1分経っていたのがおもしろすぎて伝説級の1分だった。
魔剣大会編はアノスの親孝行が自分の親を喜ばせるだけでなく友の母親の命も救う形になっていて、レイの親子愛よりも話の巧さに感動してしまった。凄いと言えるもんではないが、9話では登校中のアノスとミーシャがOPの使い回しで笑った。作画は安定していたけど特出した部分は無い。

キャラもストーリーも描写が足りないと言っている原作ファンも見かけたが、臆することはない。
普通は原作から大きくカットされているなんて情報を知ったら観る気を失くすもんだし、案の定清々しいなんて域じゃないほど詰め込んだ構成になっていることは確かに感じ取れてしまうのだが、それでもこのアニメはどうしようもないほどに完成されている。原作を知らない側からすると、原作とは別物と評されるような潔い作りはむしろありがたい。本当におもしろかった。完成度が高すぎて、続きは観たいような観たくないような。