いめーじ

リコリス・リコイルのいめーじのネタバレレビュー・内容・結末

リコリス・リコイル(2022年製作のアニメ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

最初の世界観説明からキモそうな組織だなと思ったけど、主人公サイドは懐疑的なポジションでよかったし、真島にも通ずるものがあった。
対話も理解も無く悪と認識したものを排除する力が肯定できるはずもないが平和の維持は尊い。力なき者が訴える手段はテロリズムしかないのに社会的には悪としか思われない。この構図は良いんだけど上手に扱えているかは怪しい。
良質なキャラデザとそれを活かす美少女演出や美麗カットが多く、脚フェチ描写も非常に濃くて満足。逆立ちシーンは神。時々口調が崩れるのもおもしろい。
ミカを通して描かれる子育て論も良いドラマになってた。
フキみたいなキャラの扱いも上手い。
たきなが抱いていた組織に属するのが一番だって価値観が崩れていく感じは、正社員よりフリーターのほうがよくね?みたいな流れに見えて個人的にはおもしろい。
1クールだからかキャラの心理が急なノリで変わったり社会的なテーマ性も個人規模で収束していて物足りなさはある(そこが今っぽいなとは思うし千束自身も世界がどうとか知らんわと言ってる)
確かに俺も正直な気持ちを言えばこのアニメは千束以外どうでもいいと思ってる。
銃に大きな意味を持たせられるのは日本を舞台にした時の強みだけど、銃を過信しすぎてる気もする。
逆にテロリズムに強い意味を持たせにくいのは弱みだろうな。真島は解放の宣教師でしかないので道化師みたいな悪意が感じられなくて割と誠実だったしバランスとろうぜ以外の主張が無いし悪が生まれる原因にはまったく触れていない。ゴッサムシティなら貧困とかが大きな理由として使えるんだけどリコリコの東京は治安維持に成功してる状態からのスタートだからペラい。
本当のワルは映画の中だけって会話もあったし自覚的なのかもしれないが、自覚したところで意味は無いわな。まぁダークナイトよりおもしろかったけどね。
この作品は善悪構図を築いてるようにみえて実際に極端なのはDAだけだし、最終決戦は副産物vs副産物って感じで何とも言えない状況だ。理想は極端な力や支配の無いフラットな世界で千束や真島にそれを体現させてると思うんだけど、やっぱりしっくりこない。
にしてもこのアニメの放送期間に安倍晋三が撃たれたのは皮肉というかなんというか…。

錦木千束マジで好き。俺の女になれ!オマエに選択肢なんかねーから。