このレビューはネタバレを含みます
今作の主題としてはプリンの件も含めて人間が人間たるためにはゴーストが必要不可欠なのかという疑問を視聴者に投げかけている。
スワンプマンの思考実験を体現していると言えるだろう。
まず、ゴーストのあるなしで区別するとポストヒューマンはゴーストをAIに上書きされたため、ゴーストがない側に属する。
視聴者がアンドロイドとなった後の見た目も記憶も同じプリンを死ぬ前のプリンと同じ人間として見ることができるのか、しかし、死ぬ前も既にポストヒューマンであったなら既に死ぬ前もゴーストは無い。ただ、アンドロイドになった後はポストヒューマンAIがオリジナル1A84に変わっている点のみでアンドロイドのプリンが別人であると断言できるのか。視聴者の人間が人間たるべき要素をどう認識しているのか疑問を投げかけている。
Nとなった人間は、現実世界に肉体は存在するもののNが必要とあらばNではない人間の”目を盗み“映らなくなることが可能。これは笑い男を目撃できたのが電脳化していないホームレスのみ、という点をオマージュか。
Nとなると自分が気持ちいい方向に人生のストーリーが形作られていく。9課のメンバーが死んでいき最後に核が発射されるところまでのストーリーは、最終的にNとなった米帝目線で、無事事態を収められたという気持ちいいストーリーと、レイディストたち目線で、核を発射し世界滅亡を成し遂げるストーリーの2つの相反するストーリーをリアリストの少佐目線でごちゃ混ぜにされたストーリーであると理解した。
