尋常ならざる力“異能”を用い、法で裁けぬ悪人を闇に葬る者たちがいる。本当の名前を捨て過去も捨て、かりそめの日常を送る彼らは、しかしひとたび任務を受けると、人知れずそれを遂行するのだった。“コード:ブレイカー”と呼ばれる、存在しない者たち。その戦いは冷徹にして熱く、その存在は刹那にして鮮烈。彼らの物語が今、明かされる――。
少女は見た、闇に浮かぶ青い炎とそれを操る少年を―― 小雨降る闇夜の公園にまたたく青き炎、そしてそこにたたずむ一人の少年。その炎は 地獄の業火に焼かれ苦悶の表情を浮かべる人影の様相を呈し……異様な光景を目撃 した桜小路桜は現場に駆け戻るが、人が燃やされたような痕跡は何も残っていなかっ た。ところが翌朝、登校した彼女の前に昨夜の犯人とおぼしき少年が転校生として現 れる。「大神零」と名乗る彼に昨夜の件を問いただす桜。果たして彼は何者なのか!?
法で裁けぬ悪を裁くは、法の裁きを受けぬ者―― 暴力団の下部組織「Gファルコン」を青い炎で一人残らず燃え散らす大神。目撃した 自身も炎に包まれ焼かれたたはずの桜は、気がつくと自宅のベッドで目覚めていた のだった。なぜ自分は生きているのか?改めて詰問する桜に大神は、自分が法で 裁けぬ悪を裁く悪『コード:ブレイカー』であることを告げる。そして時を同じくして、ま た別の『コード:ブレイカー』も動き出していた!!
金の瞳は悔恨に囚われ、銀の瞳は祈りを放つ―― 「これ以上お前に人を殺させない!」迷いを捨てた桜は、徹底的に大神と関わること を決意。その矢先、大神はGファルコンを配下に置いていたヤクザの事務所に乗り込 んでいく。無理矢理同行した桜は大神の裁きを止めようとするのだが、そこに待って いたのは残酷な現実だった。そして事件が終わろうとした瞬間、大神の眼前に凄まじ い力を持つ異能の使い手が降臨する……!
目的を遂げるため手を血で染める、それが許されざることと知っていても―― 強力な異能“磁力”で平然と大神もろとも悪を滅しようとした男もまた『コード:ブレ イカー』のひとりであった。左右異なる色の瞳を持つ彼の名は「刻」 そして大神も、 気まぐれで学校に現れた彼に、理由もなく問答無用の攻撃を仕掛ける。互いに 相容れず一触即発の険悪な関係にあるふたり。 ところがそのふたりがコンビを組んで仕事をすることになり……!?
悪の根源が弱さなら、正義の核心は非情なのか―― 閑静な邸宅街で一際威容を見せつける豪邸に、真正面から突入するふたり の『コード:ブレイカー』はたしてそこは、政府の異能研究機関であった。繰り 広げられる異能と異能の攻防を目の当たりにする桜。だが、激闘の果てに 見た真実はあまりにも凄惨で、底知れぬ思惑が蠢くものだった。 そして、この事件に幕を引いた男は、大神でも刻でもなく……
いずれ全てを失うことが、自明だとしても―― 遅ればせながらクラスメイトによる歓迎会が開かれる。馴染んでもらおうと腐心 する面々の思惑とは裏腹に、大神は受け取ったものを桜の目の前で燃え散らす。 『コード:ブレイカー』は存在しない者、何も残さないかわりに、決して忘れない。 彼の考えを多少なりとも理解し始めている桜がいた。そんな彼らのいる学校を闇 にまぎれて急襲する影の群れ。 校舎に入らせまいと応戦に出る大神だったが、その身体に異変が起きる!?
闇に潜り続ける者は、いつしか闇と同化する―― “ロスト”それは、異能を使いすぎることで起きるリスク。24時間力が使えなく なると同時に、肉体的にも何らかの影響が出る。弱体化し動くこともままなら ない大神と、それを予見していたかのように現れる『コード:ブレイカー』達。 敵を欺くためにも、と桜の自宅である日本最強の任侠組織「鬼桜組」に場を 移す一行だったが、そこには彼らと因縁浅からぬ新たな敵が待ち構えている のだった!!
過去なくして今はない、しかし過去が今を惑わせる―― 集結した『コード:ブレイカー』を赤子の手を捻るようにあしらっていく、強力 な異能。 桜小路邸を急襲した敵、それはかつてエースと謳われた元『コード:01』の 人見だった。 皆に慕われていた彼が、なぜ「復讐」と称しこんな暴挙に出たのか? 『コード:ブレイカー』たちそれぞれの胸にかつての想いが去来する。 そして、事態は思いも寄らぬ起点から急変した!!
報われぬ生を終えた者たちのため、報いを与えんとする者―― 町中で不自然な爆破事件が頻発する。これも人見の仕掛けなのか? 真偽を つきとめるべく、アジトを急襲する『コード:ブレイカー』達。しかし思いも寄らぬ 伏兵に、苦戦を余儀なくされる。 後ろ髪を引かれる思いでその場を仲間に託し、大神はひとり上階へと向かう。 だがそこに現れたのは…… 人見の復讐、その真意とは!?
臨界を越えた力は終末を呼び、強い想いは覚醒を招く―― 『エース』それは選ばれし『コード:01』にのみ許されし称号。それは 正義を冠するものの証。かつては異能の行使を、法を越え秩序を正すもの と信じてやまなかった。しかし時と共に、心の片隅に澱のようにわだかま り始める疑念。 異能は何のために存在するのか? 生き様を縛られ、報われぬ宿命の意義とは? そして真実を目の当たりにした時、わき上がるその感情を押しとどめる ことが彼にはできなかった……
悲劇を終わらせるための、惨劇が降り注ぐ―― 宣告はなされた。藤原総理の公開処刑とともに、5万人の一般市民をも殺傷する という。日本中がパニックに陥る中、奔走する『コード:ブレイカー』達。 だが奮戦むなしく、仕掛けられた爆弾は刻一刻と無関係な人々を巻き込んでいく。 そんな彼らのもとに届く一通のメール。送信者不明のそれは、あるポイントを指し 示していた。これは信じるに足るものなのか、それとも……
喪失は取り戻せないと、わかっていても―― 刻が、平家が、遊騎が、王子が、そして大神と人見が、各々が信ずる道のため相対 する敵と激突する。互いに背負うもの、心に秘める想いを、不器用なまでにさらけ 出し、ぶつけ合う。それを止めようとする桜もまた、あまりにも純粋でまっすぐ だった・・・異能者は国家の犬として生きるべきなのか、逃亡者となっても野に下る べきなのか。 人々に己の信念を示すため、人見は最後の力を発動する!!
打たれたピリオド、その先に見えるもの―― 大神が纏う煉獄の炎は、全てを飲み込み、全てを終わらせつつあった。新たに 覚醒した青い炎は『コード:ブレイカー』達に何を指し示すのか。 そして、人見が大神に託したものとは・・・ 同じ異能者でありながら歩く道は遠く離れ、しかし胸の奥底には同じものを抱えて いる彼らに“最後の時”は等しく迫る。
(C)上条明峰・講談社/CODE:BREAKER製作委員会