もとまち

∀ガンダムのもとまちのレビュー・感想・評価

∀ガンダム(1999年製作のアニメ)
4.6
圧巻の一言。イデオンで描かれていたのが「死」への諦観ならば、∀ガンダムで描かれていたのは「生」への諦観である。Vガンダムの鬱病から、ブレンパワードという治療を経て、富野は生に対する悟りを開いたと言って良いだろう。そう思うほどに、∀ガンダムには生きることに対する不思議な達観が漂っている。これまでの富野作品と同じように、人間たちの抱える醜いエゴをたっぷりと描いてはいるものの、イデの力によって彼らが断罪されるようなことはない。むしろ、彼らの醜さも穢さも、全て包容してしまうような優しさが、全編に満ちている。まあ兎にも角にも長い長い物語の果てに行き着く最終回の美しさと言ったら、言葉では言い尽くせぬ感動がある。計り知れないラストの余韻。あと、本作もブレンパワードもそうだが、富野作品における菅野よう子は良い仕事をし過ぎている。彼女の音楽が作品のレベルを底上げしていたと言っても決して過言ではないだろう。
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