事故で瀕死の重傷を負った樹奈は現代文明の行き着く姿、穢れた地球の未来を知ってしまう。大地の悲鳴が彼女の魂を切り裂き、さいなむ。そんな彼女の前に現れる謎の美少年クリス。「もしも地球の未来を開くならば、いま一度、命をさずけよう」ラージャという謎の存在と戦う運命を担わされる樹奈。運命の先に光はあるのか?
巨大発電所に襲いかかるラージャ。テレサたちシード局員は、発電所所長とともに、懸命にこれを阻止しようとする。しかし、突然、戦いの場にたたきこまれた樹奈は、自分を見失い、恐怖と怒りから“力”を解放してしまう。額の時のしずくが煌めきを放ち、見たこともない巨大な影が、ラージャと樹奈のあいだに立ちはだかった。
クリスはいう。「おまえの身体は汚れきっている。浄化せねばならない」そして、樹奈は人のかよわぬ山の中へと突き落とされる。原生林の中を、樹奈はあてどなくさまよう。容赦ない自然の猛威、襲いくる空腹、喉の渇き、そして、孤独。樹奈は、この苦しみになんの意味があるのかとクリスを呪う。
山中で奇跡的に遭遇することのできた樹奈と時夫。ふたりの前に現れる謎の老人。戦いと放浪の果てにおとずれた静寂の一時。ひなびた廃村で、時夫と樹奈は、老人が見せてくれた不思議な畑にとまどう。「よく見てみろ。いま、目の前で何が起きているのか」生い茂る雑草と飛び交う虫の中で、樹奈は果して何を見出すのか…。
神戸に戻ってきた樹奈の耳許に、あざわらうようなクリスの声が聞こえてくる。「おまえは街に耐えられるか?」 時のしずくの力で、食べ物や都会の隠された姿が見えるようになってしまった樹奈には、いつも見過ごしてしまっている不自然な歪みが、痛いほど感じられる。「日常」という怪物に樹奈は押し潰されそうになり…。
家族の元を去った父親と再会する樹奈。ふたりの間のわだかまりは溶けることなく、時間だけが過ぎていく。樹奈はいつも通りに授業を受けるが、鋭敏化した感覚は教師の言葉の歪みに反応してしまう。まるでロボットのように授業を受けているクラスメートたちに怖れさえ感じる樹奈。恐怖は増殖し、姿を変えて樹奈に襲いかかる。
樹奈を助けるだけでなく、世界に出現するラージャと対峙しなければならないクリスは、病状が悪化。彼のことを救えない自分の無力さを呪うシンディ。彼女は、独断で樹奈をシード極東支部の地下神殿に眠る、クリスの許に連れてきてしまう。瀕死のクリスに触れた時、封じられていた「力」がよみがえり、樹奈たちを呑みこむ。
そぼふる雨は、人の心を憂いで満たすのだろうか?仲の良いカップルだったはずの樹奈と時夫に訪れる破局の危機。樹奈が「選ばれし者」になってしまったがゆえに、ふたりの間はぎくしゃくとしたものになっていく。聖なる弓・ガンディーバをあやつる樹奈でも、恋の前にはひとりの少女にすぎない…。
時夫がさゆりと会っているのを見てしまった樹奈の心は揺れる。そんな樹奈を見透かしたかのように現れたシンディは、樹奈と時夫はもうお終いじゃないのと告げる。自分には分かるのだと。子宮の中の赤ん坊の頃から人の善意も悪意も感じさせられてきたのだと。胎児の記憶なんて信じられない樹奈に、彼女は耳をすませと言い…。
バイオハザードが危惧される研究所に単身乗りこむ樹奈。が、そこの責任者は時夫の父、昭夫だった。樹奈の懸命の説得を一蹴する昭夫。動きだしたプロジェクトを、たったひとりの少女のあやふやな予感でやめるわけにはいかない。そこへ時夫が現れる。そんな時、バイオ研究所めがけて、巨大なラージャが迫りつつあった…。
アメリカのTI能力者が倒れ、急遽、樹奈がニューヨークに派遣される。そこで彼女は、ひとつの文明の行きつく姿を見る。大量に消費される商品、大量に排出されるゴミ、そのゴミの上に成り立つ文明。それでいながら、多くの人が必ずしも幸せでいられない。はたして、人はその循環を断ち切ることができるのか。
ついに破局が始まる。おびただしい数のラージャの侵攻で、逃げ惑うことさえままならず、ただ混乱に陥る人々。一方、樹奈はTI能力者として、シード合衆国支部に軟禁される。時夫が、母が、姉が苦しんでいるのに何もしてやれない焦燥感が、彼女の体を内側から苦しめる。はたして、樹奈は時夫たちを助けることが出来るのか。
すべてをかなぐり捨てて時夫の許へむかう樹奈。そして始まる激しい戦い。街を埋め尽くすラージャの群れめがけて、ガンディーバが唸り、無数の矢が大地に降り注ぐ。怒りにわれを忘れた彼女の前に、ついに、巨大な“敵”が姿を現す。さぁ、目覚めよ樹奈。この星の危機を救うために…。