たろいも

true tearsのたろいものネタバレレビュー・内容・結末

true tears(2008年製作のアニメ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

う~ん、思っていたほど…ではなかったです。
絵柄とOP曲がとても良く良作の予感がしたのですが、物語の筋書がどうにも私には合いませんでした。好みの問題かもしれません。

嫉妬、拒絶、横恋慕、浮気、密会、裏切りなどなど、人間関係のすれ違いをこれでもかと詰め込まれている作品でした。
13話という短い話数の中で複雑な五角関係が成り立ち、なおかつそれぞれの想いが折り重なって徐々に響き合っていく様は、鑑賞中に幾度となく恋愛の痛みと切なさを感じさせてくれました。

ただ、本作における人間関係の不自然さも、やはり同じくらい感じることになってしまいました。
正直、一度みんなが落ち着いてきちんと話し合えば、こんな問題一発で解決できそうだし、なんならそもそもすれ違いなんて起きないんじゃね?と思うような場面がたびたび起こるので毎話毎話で無茶苦茶モヤモヤしました。愛憎劇のモヤモヤではなく、純粋にこんなん起こり得なくね?の方のモヤモヤの方が大きかったです。

ぶっちゃけ、主人公が気持ちをはっきりと伝えて母親や周囲に意見表明できていれば一瞬で終わるんですよね、この話。こんだけ入り組んだ状態になるまで問題を放っておくのが、ちょっと物語的に考えられないんですよね・・・不自然すぎる。

あと、不思議系女子のノエの不思議電波っぷりも私には限界でした。油虫やら飛べるだの飛べないだの、意味不明な会話を作中後半まで永遠と引きずっていて、電波系少女であることを考慮しても正直意味が分からなさ過ぎて違和感が半端なかったです。
そもそもこの知性で日常会話が可能なのかとか、ちゃんと学校に通えているのか等ノエの変人ぶりに終始コイツ大丈夫かと思わずにはいられませんでした。

鶏と絵本も、物語の内容を抽象的に表しているのは分かるのですが、あまりにも本題とかけ離れすぎていて、物語に浸る妨げになっていると感じました。
純粋に酒屋の跡継ぎとしての葛藤とか、あるいは作家を目指しているとかの方が、もっと簡潔で分かりやすい表現にまとめられたのではないかと感じました。

ただ登場人物でいうと、一番回りくどかったり、口論や喧嘩をしてしまったり、また恋敵に対する嫌悪感を露わにしてしまったりしているヒロミが、作中では一番リアルで人間味のある女性の心情を表せていると感じました。
好きな人を取られそうになったり、美男子に言い寄られたりして戸惑う姿や、好きな人間の言動にも苛立ったりする姿は実に人間味のある人物像だったと思います。まぁ、それにしても純に何度も会うシーンはちょっとないかなぁ、とは感じましたが。

総じて、ヒロミ以外の人物たちの動きがヒロミの感情をどう変化させていっているのかという視点で恋愛描写を観ることが、この作品で一番リアルな心情を感じ取れる楽しみなのかなと思います。終始、ヒロミが可愛かったです。
たろいも

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