たろいも

ef - a tale of memories.のたろいものネタバレレビュー・内容・結末

ef - a tale of memories.(2007年製作のアニメ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本作はエロあり・虐待あり・感動ありという、いかにもな当時の「深夜アニメらしさ」が感じられる作品です。
本作はアダルトゲーム作品のアニメ化という挑戦的な試みで送り出された作品の中でも、金字塔といえるほどの反響を残した作品でもあります。

内容は痛みや悩みを抱えた少年少女たちが互いに心と心でぶつかり合っていく中で大人に成長して行く物語です。
ヒロインたちはどの子も可哀想になる生い立ちの子ばかりなので、見ていて最初はかなり悲しかったです。
ただ、心臓には悪いですが、こういったキャラクター達がもつれ合ってかもし出すシリアスさは、アニメでしか味わえないものでしょう。なかなかの見応えがあります。

また、途中から吹っ切れたり居場所を見つけたり決意したりしておのおのにトラウマを克服していのですが、そのキャラクター達の心情の変化は大胆かつ思い切りの良いものでつい引き込まれがちになっていました。
キャラクター達の終盤にかけての繋がりのおさまり方も見事だと思います。よくもまぁこんなにきれいに物語がおさまる脚本に仕上げたなぁと感心してしまいました。
昼ドラのようなぶつかり合いからは予想もしなかった大団円だったので、見終わったときには思わず胸をなでおろす思いでした。映像作品の底力を味わったような気がします。

本作レビューをするにあたって特筆しておくべき内容が一つあります。それは、作中で用いられている芸術的な表現の数々です。
作中でキャラの心情が映像の色彩にそのまま表現(無感情がモノクロで表現されている)されていたり、毎回細かく変わっているオープニングだったり。幕間で表示されている小説の英文も物語中で伏線として回収されていきます。場面場面に流される音楽も素晴らしいです。
「アニメやゲームにしかできない芸術的表現を」という当時のアニメ業界のフロンティアスピリットが感じられる作風だったので、鑑賞時にはぜひ注目してみてください。

最後まで見ても多くの気になる謎を残すことになると思いますが、そこは続編で回収されますのでご安心を。
※ストーリーとしてはけっこう悲しい物語でもありますので、繊細な方が視聴するのはオススメしません。
たろいも

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