koumei

ハイスコアガールのkoumeiのレビュー・感想・評価

ハイスコアガール(2018年製作のアニメ)
5.0
これは、俺の遺言であり、人生そのものであり、理想の物語であり、究極のラブストーリーであり、これを超える作品はもう出てこないであろうことをここに記す。
ザンギエフのスクリューパイルドライバーを指弾きの1回転で歩きスクリューで出せる女。たまらない。

・あらすじ
ゲーム全盛期の91年、主人公がアーケードゲームの格ゲー(スト2)で無双する中、突如現れた同じクラスで学業優秀、金持ちの娘の大野晶に完敗。ハメ技(待ちガイル)でリベンジするも自力で圧倒する大野に対しライバル視しながらも段々とそれが恋心に変わっていく話。

・感想
究極のラブストーリー。人生No. 1アニメ。
言語を駆使した最高のラブストーリーが化物語だとすると、非言語(ノンバーバル)の最高のラブストーリーがハイスコアガール。
もちろんどちらも男性にとって都合の良い女子を描写してる点については自覚的だ。
前者は空から女の子が落ちてくる(そんなシチュエーション無いよね)という確信犯的演出をしてるし、後者(本作)はゲームの上手い女子なんて居ないことをわかった上での男性にとっての理想的女性像を描写している。でもそんなことはわかっている!けどそれがたまらなく可愛い。
言葉を発しない大野に対し表情や行動で察し、喜んだ時の表情や行動がとんでもなく愛しい。言葉ではなく相手の気持ちを感じ取ろうとするのは、究極の愛だ。
3話の、大野が親の都合でロスへ転校してしまう時の空港での別れでは号泣したし、4話から出てくる小春の主人公への思いも切なくて号泣する。
大野のキャラデザが可愛いわけではないのに、主人公の大野に対する好意がわかった途端の大野の表情が、たまらなく可愛い。
主人公の、好きなゲームへの情熱を周りにどう思われるかなんて気にせずのめり込み熱中できる態度が大好き。
大野ともっといたいがために、同じ高校を受験するシーン、まさにFirst Love初恋そのもの!ここから着想を得ていたのか。
その時に大野が主人公の手をぎゅっと握るのが、好き。
感情を口や手や目で表現する手法が好き。
24話の主人公が大野に愛を告白するシーンもたまらない。

ノスタルジーの側面も直接的すぎるがやはり懐かしさからは逃れられない。
スト2、ファイナルファイト、魔界村、スーパースト2X、鉄拳、餓狼伝説、KOF。
KOF95が出た時は思わず叫んでしまった。
ああ、俺の青春!たまらない…。

・評論
ターゲットは今の30代後半〜40代の、ロスジェネ世代〜ゆとり世代手前くらいの世代だと思うが、この世代は大きなもの(大企業)に入れなかった就職氷河期世代で、基本的にそのほぼ全てが何者にもなれなかったという自意識を持っていると思う。
主人公の、学力も運動神経も芸術的センスもない持たざる者が、それでも自分の一芸を持ち普通の心優しき人間として生きる、そのことを肯定してくれている意味でこの作品には救われる部分がある。
会話の出来ない女子と表情や暴力でコミュニケーションしていくという面白いやりとりは、AI的とも言えるし、赤ちゃんを育成する感覚にも似ているし、社会から拒絶された者が社会に対して行うコミュニケーションという比喩にも見える(社会は反応してくれないので)。
「俺たちガキが時代の変化を目の当たりにできる場所ってのはゲーセンじゃねえのかって感じたぜ」という主人公のセリフの通り、ゲームという20世紀における最大の総合芸術が生まれ、それに熱狂しプレイし同じ時代を過ごせたことに感謝。
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