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機動戦士VガンダムのTenKasSのレビュー・感想・評価

機動戦士Vガンダム(1993年製作のアニメ)
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再挑戦して初めて全部通して観た。
面白いかは別として、「エヴァの元ネタ」「カテ公」「リーンホース特攻」みたいな外から受けただけのミーム的な印象を払拭できて良かった。裏返しのような表現は沢山あるとはいえ、言っていることはまあまあオーソドックスなガンダム作品の印象。
頭の中でシャンシャンなる鈴の音は抗うつ剤の副作用にしか見えないし、幻覚、頭痛を催す攻撃方法が登場して「冬になると訳もなく悲しくなる。」で締められる。本当に鬱の人が作ったんだ…という謎の感慨というか印象もあった。

ほとんどの登場人物が主義や「であるべき」な思考をエゴイスティックに自分にも他者にも押し付けながら、「替えの効かない」人やモノを見つけようとしたり守ろうとしたり勝手に決めようとしたりしている。結局自分を維持する為でしかないので大体痛々しい。
とにかくシュラク隊はじめとして、ザンスカール女王もジン・ジャハナムも替えが効いてしまい、主人公機のガンダムでさえ、パーツもパイロットも替えが効いてしまうという表現がされている作品にとって、本当に替えの効かないものなど地球とか生命のサイクルのような大きなものでしかない。それを支えるのは次の世代を担う子供だが、子どもをつくるのには性の概念が付き纏い、人というか大人は、そのせいか悩み苦しんで結局人を恨んで争いを起こす。だったらいっそ人類全員幼児退行してしまえという身も蓋もない計画。流石にそれはないだろーよ…と、なんだかあったかい光に包まれて戦争は終わったが、一体何が残ったのだろう。ガンダムという作品の創造主でさえ替えが効き、ガンダムの名の付く作品が登場しさえすれば、また戦いが始まってしまう虚しい生命のサイクルくらい??何にヴィクトリーしたんだね…恐ろしいな。
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