「〜するがよい」がクセになる
ひたすら殿下を愛でる本シリーズ。戦旗に突入、前作から3年の時が経ち、ラフィールは突撃艦バースロイルの艦長に、ジントは同艦の主計列翼翔士(言いづらい)に就任、ついでに同年代のエクリュア次席翔士も加わり、星界軍きっての甘酸っぱい鑑が誕生する。猫を介して三角関係する艦橋とか楽し過ぎる。
ワクワクする編成で始まる中、いざ戦闘に突入すると戦闘が頗る面白い。主人公達の鑑が大きな作戦に出たり、キーマンになることは無くて、大規模な戦争の中で突撃艦の役割を全うするってだけなんですが、だからこそリアルで、いつ撃墜されてもおかしくない緊迫感が常にある。
艦隊を指揮する提督達の目線があるのも面白くて、アーブって種族の独特の感性や考え方が個性豊かに表現するされるところが良いですね。それぞれの艦艇の艦長と副官の関係性、会話も見所。
主軸のストーリーが面白いのは良い事ですが、今作の1番の魅力は変わらずラフィール様とジントの物語。
戦争の中だからこそ、常にラフィールを気遣い寄り添うジントの紳士ぶりが際立ちますね。
戦闘中に自分の席に座らずに艦長の横で喋り続ける主計ってなんなんでしょうね。
会話の半分近くが猫関連だった気もするけど、戦いの中でこそ平和な話題をチョイスして気を紛らわせる彼なりの気遣いですなー、イケメン。
平和な話題のレパートリーが猫しかない不器用さも可愛い。
この作品で好きなのは、普通の貴族社会なら許されなさそうなラフィール様とジントの交友関係を、特にやっかむ人が居ないってところ。これもアーブって種族の特性なんでしょうね。この関係に気を遣ってるのはジントくらいで、ラフィール本人も家族も、他のアーブすらも貴族や選民意識とかが無く、人間を極めて平等な価値観(アーブ基準ではあるけど)で見てる。逆にいうと他人に興味が無いとも言えるけど。遺伝子操作で完璧な人間を作るからこそのこの性格なんだろうなと思いました。お陰で邪魔が入る事なく二人の世界を思う存分楽しめる。良い世界観。
いやはや、思いの外長文レビューになってしまいました。
点数内訳
世界観:4
ストーリー:4.5
キャラ:5
音:3.5
映像:3.5
スコア:4.1