なか

BEASTARSのなかのレビュー・感想・評価

BEASTARS(2019年製作のアニメ)
3.4
原作が面白かったのでアニメも観てみた 原作の生々しく荒いタッチが作品の良さを引き立てていたのに、ぬるぬる動くアニメになってて正直これじゃない感がある…

急にコマ割り風になったりする所々の演出もなんか変 普通に描画タッチでアニメ化してほしかった あとレゴシの声はもうちょっと低いのを想像してたな
けど後半になるにつれて違和感を抱きにくくはなった 全体的には原作に対して真摯に映像化されてるなと思いました 端折るところの選択が上手いというか、アニメだけでも全然展開に違和感なかった

ここから原作の話になるけど、世界観とストーリー展開には本当に引き込まれる
草食動物と肉食動物が共存する世界で互いの生きづらさを描くのかと思いきや、そこが主軸ながらも動物1匹1匹にスポットライトが当たる展開と思惑の絡み合いがたまらない 作者の観察眼が本当にすごくて、動物の動物らしさを緻密に描写しているのにどことなく人間の世界と通ずるものもあって読者が自分をどこに置いていいのかわからなくなる 誰にも感情移入や共感ができるようでできない、できないようでできるという不思議な感覚

ただレゴシがハルを好きになるきっかけが弱すぎて置いてかれたな ハル→ルイにしてもジュノ→レゴシにしても、動物が動物に惹かれる瞬間の描写だけ途端に甘くなるのは何?なんかこれのせいで血みどろのアオハライドという感想を抱いてしまった
自分が恋愛に対してあんまり熱意がないということもあってか、ちょっと冷めてしまって悲しい
散々レゴシのハルへの執着は肉食動物としての本能云々とか言ってきたのに、最後「好きだから違います!」とかやっちゃうのはアクロバティックに解決しすぎだとは思う
共存という言葉が何回も出てくるし、男女、人種、貧富等現実の社会構造を意識している作品だと思う そこがすごく面白いところでもあるんだけど、まだ作者がどこまで考えてやっているのか捉えきれていない
そういう諸問題に対して努力とか気持ちで解決するみたいなことを言い出されると超冷めるので、「好き」が最終的なメインになってた1期には不完全燃焼感がある

余談だけど肉食動物を性欲に例えてるとか、レゴシ=性欲に抗おうとしてる人間を描いてるとか、浅い解釈すぎないか?本能=性欲みたいな雑な結び付けマジで勘弁してくれ たしかにこの作品は性と深く関わってると思うけど、そんな単純な話じゃないでしょ
なか

なか