アルゴリズム行進は終わらない

四畳半神話大系のアルゴリズム行進は終わらないのレビュー・感想・評価

四畳半神話大系(2010年製作のアニメ)
4.2
我が学生生活も実に不毛であり、バラ色のキャンパスライフなどとはかけ離れた単なるちんけな日々の繰り返しであった。

京都での学生生活中にこのアニメを観れて心から良かったと感じる。

振り返れば一瞬。何かを成し遂げた訳でもない平凡な日々。多くの人が「あの時違う選択をしていたらなぁ」なんて一度は考える事だろう。しかしこの物語が教えてくれるのはなんとも無慈悲な現実。
「運命は変えられない。」
どんな選択をしようとも、ことごとく小津に邪魔をされる主人公。どうしたって周りにはいつものメンバー。しかしそんな事はつゆ知らず。どうしようも救いようも無い話。

しかしそこまで来るとなんだか気が楽になるような。ちょっとやそっとでは何も変わらないなら「これも運命」と割り切れる、悟った人間になれそうだ。

毎回ラストの時計の針が戻る演出が物凄く洒落ていて好きだった。

森見作品が好きで、よくデルタや京大付近に散歩に行った。でもあんな愉快な奴らと知り会うなどもちろんなかった。でも大学生活4年間でできた友人はほとんど変な奴で。ただ、類は友を呼ぶでこいつらと出会えてよかったと思う奴らばかりで。それはおそらく私が、映画サークルみそぎを選ぼうとも秘密機関福猫飯店を選ぼうとも、どうにかして我がキャンパスライフに割り込んできたであろう奴らなんでしょうな。

ちなみに主人公は明石さんとの恋を成就させたようですが、確かに詳しい記載がなくて良かったですね。

「成就した恋ほど語るに値しないものはない」