浅野公喜

YAT安心!宇宙旅行 第1期の浅野公喜のレビュー・感想・評価

YAT安心!宇宙旅行 第1期(1996年製作のアニメ)
4.1
カニ頭の星渡ゴローが弱小宇宙旅行会社のスタッフとしてタダ働きしながら行方不明の父親を探すSFアドベンチャーコメディ。子供の頃「飛べ!イサミ」や「あずきちゃん」辺りと同じくなんとなく観ていたNHKアニメですが久々にフルでちゃんと鑑賞しました。小室ファミリー風の曲が流れるOPにこの時代らしさを感じます。

ドジながら熱血キャラのゴローはじめガイドでメインヒロインの桂、名前に反していかにも昭和頑固親父な社長のカオル、宇宙人と人間のハーフで運転手のウッチーとロボットでナビゲーターのカナビー(+桂のペットのブッキー)といった個性豊かな旅行会社の面々にゴローに片想いするワガママ社長令嬢のカネアに秘書のダニエル、それに宇宙海賊らが頻繁に加わる文字通り「笑って泣ける」内容となっており、ちゃんと伏線が張られ起承転結がしっかりした1話1話と終盤になって少しずつ明らかとなる父親の行方とそれに伴う過去の事故や桂の正体等想像以上に凝ったドラマティックなストーリーはクオリティが高いもの。

上記のメインキャラだけでなく例えばツアー常連客の夫婦等サブキャラにも焦点を当てたエピソードまで用意されており、コミカルな役割のキャラの意外な一面も知れるその内容に観終わる頃にはどのキャラにも愛着が湧くようになってしまいました(特に好きなキャラは海賊メンバーのナナコ)。

良いエピソードが沢山有るのですが、ガリ勉予備校生達がツアーを通じて成長する第17話「予備校生 涙の特訓ツアー!」、一人一人の乗客の個性が活かされる第22話「8人のやさしい客たち!」、母親の子供を喜ばせたいという気持ちがトラブルを招く第29話「ゴローとコゴロー!」、カネアの良心と犯人の成長が見える第33話「さらわれたカネア!?」、カネアの母親アン・マリーゴールド社長の過去が明らかとなる第37話「アン・マリーゴールドの野望!」、カネアとダニエルそれぞれの互いに対する愛情が垣間見えミルクティーに映る言葉とは対照的なカネアの表情(&演出)が秀逸な第38話「ダニエルのラブラブ大作戦!?」、ゴローの成長が見え彼の気持ちに桂が遂に気付く第42話「大脱出!燃える宇宙船」等々。

第2期は評価が落ちるみたいですが、少なくともこの1期はもっと評価されていいと思います。
浅野公喜

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