ゆず

メジャー 2nd 第2シリーズのゆずのレビュー・感想・評価

メジャー 2nd 第2シリーズ(2020年製作のアニメ)
4.0
睦子、野球アニメでいちばん可愛いピッチャーなのでは…。投球フォームが美しい。制服や普段着よりも野球帽被ってる時のが可愛い気がする…。

『メジャー2nd』第2期は、中学2年生になった大吾が主人公。女子部員ばかりでメンバーも足りない風林中学野球部の奮闘と、キャプテン大吾の成長を描く。
1期とはキャラクターデザインが異なり、2期は松元美季によるキャラデザ。正直、これによってかなり「化けた」のではないかと思う。
野球女子がメインになる作品なので、線は細く、綺麗になった印象。オープニングは女性歌手の主題歌に爽やかな映像。あとアイキャッチのイラストが毎回美麗すぎる。

序盤は女子メンバーをたらしこんでいく大吾の掌握術が面白かった。なんかもう全ヒロイン大吾に落ちるんじゃ…これなんてギャルゲー?…とか思った(笑)
大会が始まると弱小と思われたチームが大吾の手腕と女子メンバーのポテンシャルの高さで快進撃。相手チームが毎度「女子だと思って油断するな」と警戒しつつもやっぱり心のどこかで舐めてかかって痛い目に遭うパターンが多い。新生・風林中野球部、なんだかんだ強豪リトルの経験者多めだし、投手不足に悩んでるくせに実は4人くらい投げられる人いて投手層厚めだし…(笑)
キャプテンとして、捕手として、様々なアドバイスをする大吾も良かった。たとえばマウンドを削って高さを調整するのとか…。前作『メジャー』で一度も言及されなかった(と思う)テクニックが、前作主人公・吾郎から大吾に継承される。その点から考えても、本作『2nd』は試合の勝ち負けだけじゃなく、野球の知識や面白さについても丁寧に描いていると思った。

野球女子たちの輝く姿を描くと同時に、野球女子が直面する性差の壁についても描かれる。中学生という男女の身体の違いが明確に出始める時期に、男女混合でスポーツをやることの現実。終盤は特に「スポーツにおける男女間のフィジカルの差」が浮き彫りになる。
個人的には、『メジャー』シリーズという人気作品で野球女子にクローズアップしたことは、ジェンダー問題が叫ばれる現代を反映していて良いと思う。原作漫画ではパンチラなどもあるようなので、必ずしも原作者がジェンダーギャップを意識して書いているとは言い難いが、アニメ版では性的描写は削除され、配慮が窺える。
登場する女子部員たちは男性視聴者を喜ばせるためにいるのではない。(私は睦子の可愛さに勝手に喜んでたけど…)女の子が見て、野球をやりたいと思えるような作品になっていると思う。

ただ、一方では登場する野球女子自身も「男子には肉体的に敵わない」と認めている部分もあり、そこが現実の厳しさを物語っている。野球女子TUEEEEみたいな安直な持ち上げ方はしていないし、どうしたらいいか明確な答えも提示されない。「野球が好きだ」それだけは間違いない。だからこそ、生まれながらの要因で最初から実力差がある状況はつらい。
その点では少しモヤモヤが残ったりしたが、それは本作が答えの出ない問題に真摯に向き合ったためでもある。結局は女性の競技人口の少なさに尽きるので、大吾や睦子にどうこうできることではないのだ。
なぜ少ないかと言えば、「野球は男のスポーツ」「女はソフトボール」という偏見が私たちの中にあるからだろう。そういう偏見・固定観念を打ち破るまではいかなかったが、少なくとも本作はそれに気づかせてくれた。中学生という時期は、野球女子にとって、男子とのフィジカルの差が出始める時期だが、女子野球部はなく、高校でソフトボール部に入るまでは、制度とのギャップに苦しむということ。
いつか中学校での女子野球部が珍しくなくなる時代が来るだろうか。そのきっかけのきっかけぐらいの意味で、このアニメがある、と思いたい。できれば風林中野球部のこのメンバーの活躍をもっと見ていたいのだが、原作の方はどうなっていくのだろうか。
ゆず

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