もこもも

平家物語のもこもものレビュー・感想・評価

平家物語(2021年製作のアニメ)
4.3
栄華を極めた平家の滅び行く末を未来が見える目を持つ少女・びわを通して描いた作品

静かに深い余韻が残る
色彩が、演出が、音楽が、映像が
とんでもなく美しかったなぁ...
戦いによる絶望も、滅んでいく悲しさも
懸命に生きる力強さも描かれているけど
淡々とした感じで物語が進んでいくから
安らかでもあり、儚くも哀しくもあって
胸にじーんと余韻が残り続けていて、
そこがこの作品の独特で美しい魅力に感じた
結末が分かっているからこそ切ない...

『平家物語』
有名な冒頭の一節ぐらいの知識しかないし、
歴史の内容も全然覚えてなかったけど、
ただ文章で歴史を知るだけでは分からない、
生きていた人々の声に深みを感じた
歴史として文章で読むのではなく映像で観ると
夢に、野望に、信念に、愛に生きた
一人一人の背景を知ることができて、
どれだけの血や涙が流れたのかを実感させられる
こうしてこの作品が作られたことで
より多くの人に語り継がれていくことが嬉しい

"何回だって言うよ、世界は美しいよ
君がそれを諦めないからだよ
最終回のストーリーは
初めから決まっていたとしても
今だけはここにあるよ
君のまま光ってゆけよ"

作中のBGMも心地よいし、
OP.EDも共に素晴らしかった
OPのサビの歌詞がほんまに胸に響く
物語が進むにつれてより胸に沁みていった
物語としては平家がより滅亡へ近づく
8話あたりからより引き込まれた
胸に残ったし好きな作品であるが、
この作品の評価はとっても難しい

「闇も先も恐ろしくとも
 今この時は...美しいの...」

強くて、優しくて、頼り甲斐のあって
たらればなんて意味はないけど
重盛が生きていてくれたらなって
作品の中で何度も思わされた
重盛とびわは出会うべくして出会ったね

「私は世界が苦しいだけじゃないって思いたい
 だから私は許して、許して、許すの」

時子の言葉は愛があって力強い
後白河天皇と話すラストの会話も胸に響いた
維盛も資盛も清経もみんな好きやったな...
生き残ったもの、生き残らなかったもの
今はまだこの余韻に浸っていたい

"祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらはす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者も遂にはほろびぬ
ひとへに風の前の塵に同じ"

OP : 羊文学『光るとき』
ED : agraph feat.ANI『unified perspective』
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