hiroki

ドメスティックな彼女のhirokiのネタバレレビュー・内容・結末

ドメスティックな彼女(2019年製作のアニメ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

高校生の藤井夏生は学校の先生に恋をしていた。彼女の名前は橘陽菜。先生と生徒という関係性に難しさを感じてはいたが、諦めきれずに密かに想い続けていた。そんなある日、たまたま合コンで出会った同い年の女の子に性的関係を持ちかけられ、応じてしまう。想い人である先生の面影をどこかに感じる彼女の名前は橘瑠衣。先生の実の妹だった。母親を早くに亡くし、父親と2人で暮らしていた夏生のもとに、橘姉妹が父親の再婚相手の家族としてやってくる。

先生と生徒、義理の兄弟という間柄では恋が実る確率は相当低いと思う。そんな現実の厳しさが描かれる中でも、純粋に人を好きになるという気持ちの強さだったり、尊さだったりを感じる作品だった。

好きな人のことにはムキになってしまうし、好きな人のためなら自分を犠牲にすることもできてしまう。それが本気の恋だと思うし、人間が持つ感情の中で、誰かを好きだという感情は、親の子に対する愛情の次くらいに、強い感情なんじゃないかと思う。

先生と生徒が恋をして恋愛関係になったとして、それが社会に知られてしまった時、処罰を受け責められるのは立場的に大人である先生の方であることは間違いない。だから、生徒である夏生は先生のためにも気持ちを抑える必要があったと思うし、一線を超えてしまった陽菜先生も教師として、大人としてどうなのかと言われてしまっても仕方がないのだと思う。だけど、そういう社会的な問題を全て分かった上で、自分たちの気持ちに素直に行動した2人を責める気にはなれなかった。

重要なことは、その恋によって傷付けられた誰かがいるのかということと、本人たちがどう前に進んでいくかということだけだと私は思う。まず、2人が恋をすることによって、本人たち以外の誰かを不幸にすることがわかっているのなら、踏みとどまるべきだと思う。誰かを不幸にする事で自分が幸せになるということは、あり得ないのではないだろうか。誰かの人生を狂わせてしまった罪悪感をずっと持ち続けなければならないし、少なからず自分の幸せを祝福しない誰かがいるということになるからだ。そして、本人たちがその恋から何を学び、どう成長し、前に進んでいくかということが最も大切だと思う。夏生は先生への想いを小説に書くことで、心を保ち、前に進んでいった。陽菜先生は、全ての責任を負い、去ることで夏生への想いを断ち切り、前に進んだ。2人ともが、お互いへの想いを大切に胸にしまいながら、前を向こうとしている。この姿を見たら、その恋は2人にとって良い恋だったのだと私には思えた。
hiroki

hiroki