1900年はじめのフィンランド。カトリは6歳。ある日、出稼ぎに出ていたお母さんが帰ってきた。カトリはお母さんにもらった子犬にアベルと名前をつけ、すぐに仲良くなった。しかし、お母さんは、ドイツで働くため再び旅立っていったのだった。
カトリの家の家計は困窮していた。働きに出る決心をしたカトリ。偶然出会ったハルマ屋敷のぼっちゃんマルティに、お屋敷で家畜番として働かせてほしい、と頼んだところ、マルティは「僕と友だちになってくれるんだったら、頼んでみるよ」という。
カトリはマルティに誘われて、湖の小島に魚釣りに出かける。ところが、釣りに夢中になっているうちに風雨が激しくなり、ボートが流されてしまった!ハルマ屋敷の使用人が島に取り残された2人を助けに、荒れ狂う湖に漕ぎ出すが…。
カトリはマルティから、ライッコラ屋敷で家畜番を求めているという話を聞く。おじいさんに、カトリはアベルと一緒にライッコラ屋敷で働きたいと頼む。他に収入を得る道もないことから、おじいさんは仕方なくカトリの決意を受け入れることにした。
カトリは、アベルを連れてライッコラ屋敷に向かった。歩いて半日もかかる距離だが、マルティが途中まで送ってくれるというので寂しくない。1人になったカトリは、ペッカと名乗る少年に声をかけられ、馬車に乗せてもらう。
ライッコラ屋敷にやってきたカトリ。驚いたことに、奥様のウッラは娘を亡くしたときの悲しみが原因でご病気のようだった。さらに御主人は仕事から帰ってくるなり、カトリに、アベルのような犬に家畜番などできるわけがない、と言うのだ。
数十頭いる牛の名前も覚え、ご主人に家畜番として認められたカトリは、北の牧場に牛を連れていくように言われる。北の牧場には崖があり、牛の行動に注意が必要だった。その夜、カトリは奥様のウッラに困った頼みごとをされるのだが…。
翌日カトリは、ウッラの頼みごとをするため、村までひた走る。案の定、北の牧場に戻ってみると、牛の群れは崖下に落ち、ぬかるみでもがいていた!牛は無事だったが、屋敷に戻ったカトリは、ご主人にきつく叱られるのだった。
カトリは風邪をひいてしまった。近くの別荘に来ていたマルティは、主人のテームに、代わりに家畜番をやるからカトリを休ませてほしい、と申し出る。一方、ウッラは食欲のないカトリの姿に亡き娘の姿を重ね、クレープを焼くのだった。
カトリの病気が治るまで代わりに家畜番をする、と言うマルティ。翌日、マルティは昨日の疲れで寝坊してしまう。約束の時間になっても現れないマルティに、ご主人が焦りはじめたころ、息を切らしてマルティがやってきた!
マルティは雷雨の激しくなった牧場で牛追いに悪戦苦闘していた。そこにやってきたペッカがマルティを役立たず扱いした事から、大ゲンカになってしまった。しかし、雷鳴に興奮した牛たちが暴走を始めた事で、ケンカを中断。協力して牛を集める。
ある日、すっかり元の明るさを取り戻したウッラが、カトリ宛ての手紙を持ってやってきた。その中には1年も前に出されたお母さんの手紙が入っていた。それを読んだカトリはお母さん恋しさに思わず声をあげて泣いてしまうのだった。
カトリの前にスケッチブックを抱えた青年が現れた。アッキと名乗った青年はカトリを見て、フィンランドの叙事詩『カレヴァラ』の一節を口ずさむ。そこへやってきたマルティの手には、なんとその『カレヴァラ』が握られていた!
アッキはカトリとペッカに、本を読むことの大切さと、フィンランド独立に向けての思いを熱く語る。日曜日、カトリとマルティはアッキの別荘に招待される。ところが、カトリたちの目の前でアッキは警察に逮捕されてしまった。
夏休みが終わり、近々別荘を離れるマルティ。学校に行きたくないというマルティに、カトリは「もっと勉強したい」と語る。その熱い思いにマルティは胸を打たれる。その夜、カトリはご主人と奥様から思いがけないお給料をいただいた。
カトリは偶然、迷子の羊を見つけ、屋敷に連れ帰る。その羊は輸送の途中で逃げ出した羊で、発見したカトリのものになる可能性が出てきた。翌日、羊を追いながら帰路を急ぐカトリの前に、狼の群れが現れた!必死に応戦するカトリだったが…。
迷子の羊はカトリのものとなった。カトリは他の羊と見わけがつくように羊の足に白い布を巻き、「シロ」と名付けた。狼退治が行われた日、カトリは、群れの中にシロの姿がないことに気づく。間違って狼をおびきよせるおとりに使われてしまったのだ!
新しい使用人ハンナは、アベルを足蹴にしたため、怒ったアベルに噛みつかれてしまう。そのとき落としたランプの火が刈り取った麦に燃え移った! 幸い火事は消し止められたが、ハンナがアベルのせいにしたため、カトリはハンナに不信感を持つ。
ペンティラ屋敷が焼けてしまったため、牛6頭をライッコラ屋敷で預かることになった。その6頭を買い取るかもしれないと聞き、カトリは家畜が売られてしまえばペッカの仕事がなくなるのではないか、と心配する。
カトリをイジメッ子から助けてくれたグニンラばあさんは、偶然にもライッコラ屋敷に行く途中だった。屋敷のみんなグニンラばあさんを温かく迎え入れたが、ハンナだけは表情をこわばらせる。羊の毛の刈り取りを明日に控えたその夜、ハンナは…。
刈り取られた羊の毛は小屋にしまわれ、鍵がかけられた。ハンナは仲間の泥棒のために鍵をあけ、アペルの毒殺を試みるが、逆にアベルに噛みつかれてしまう。アベルは柱に綱でつながれるが、グニンラばあさんは、カトリに綱をはずすよう忠告する。
フィンランドの厳しい冬の訪れを告げるように、冷たい雨がカトリを濡らす。グニンラばあさんはフィンランドの古い民話を数多く知っており、その語りは長い冬を家の中で過ごす人々にとって大きな楽しみだった。
春の訪れとともに、グニンラばあさんは惜しまれつつも屋敷を去っていく。カトリの家畜番としての仕事も始まった。そんなある日、牛を連れ帰るカトリの前に熊が現れた! 絶体絶命かと思われたとき、1匹の牛が熊に向かって突進した!
ご主人はカトリに危険な仕事は任せられないと判断。カトリはライッコラ屋敷をやめることになる。カトリは祖父母の元へ急いでいる途中、転倒。エミリアという看護婦が傷の手当をしてくれた。カトリは自立した女性を目の当たりにして憧れを覚える。
1年ぶりに会ったおじいさんはすっかり体が弱っていた。久しぶりに会ったマルティと魚釣りに出かけたカトリは、湖の小島でハンナと仲間の泥棒を目撃! 彼らはマルティの屋敷に泥棒に入るつもりらしい。
カトリはペッカのいるクウセラ屋敷で働くことにした。マルティに馬車で送ってもらう途中、車輪が壊れてしまう。そこへ1台の馬車が通りかかる。2人は助けを求めるが、その馬車にはハンナと泥棒の一味が乗っていた。
カトリはアッキと共にクウセラ屋敷に向かう。クウセラ屋敷の奥様ロッタはカトリを気に入り、身の回りの世話と息子クラウスの遊び相手としてカトリを雇うことにする。翌日、帰ってきたペッカは、カトリが雇われたと知って大喜びするのだった。
奥様のロッタはとてもいい人だった。カトリは自分の部屋を与えられ、大喜びする。しかも仕事は刺繍の手伝いと、クラウス坊ちゃんの遊び相手。「こんなに楽でいいのかしら…」と、カトリはとまどうのだった。その夜クラウスが高熱を出す。
ソフィアはてきぱきとクラウスの診療を始めた。ソフィアの仕事ぶりを見て、カトリは医者という仕事にあこがれを覚える。再びソフィアが屋敷を訪れたとき、カトリはその夢を打ち明ける。しかし、医者になるには大学で勉強しなくてはならなかった。
カトリはライッコラ屋敷に荷物を取りにいく。ウッラに「大きくなったらどんな人になるの?」と聞かれ、カトリは看護婦や先生のような人の役に立つ仕事に就きたいと答える。しかしウッラは、学校に行っていないカトリは無理なのでは、と告げる。
ある日、カトリは刺繍を輸送屋に出しにいく。そこでかけ算をはじめて知ったカトリは、算数を勉強したいと思う。帰り道、郵便局に寄ると、カトリ宛ての小包が! それは算数の本で「頑張れ、僕の可愛い友!」というアッキからの手紙が添えられていた。
カトリは牧草刈りの仕事をしっかりこなし、ヘンリッカもカトリを働き者と認めざるをえなかった。カトリはアッキからもらった本で猛然と算数の勉強を始めた。ロッタから計算には「九九」の暗記が必要と聞いて、カトリは呪文のように九九を唱える。
靴作りが始まった。クラウスも靴を作ってもらうが、大きすぎて歩きにくい。実はそれは弟子のクスターが作ったもので、クスターは自信をなくし、カトリに作る靴がうまくいかなかったら靴職人になるのをやめる、と言い出す。
ご主人のカルロが負傷した。翌朝、ロッタはカトリとクラウスを連れて早く家を出る。不安を胸に病室に入るロッタ。しばらくして病室から出てきたロッタはクラウスを抱きしめ、「お父さんは亡くなったわ」と!
カトリはお金を借りるため、ロッタの父の友人が経営する会社へ出かける。数時間後、客人を見送った社長にロッタからの手紙を渡すと、社長は出ていった客人こそロッタの父エリアスだ、と叫ぶ。カトリはエリアスをロッタのもとに連れていく。
ある日、ロッタはカトリにもっと遠いところで働いても大丈夫か、と訪ねる。ロッタの考えは屋敷や農場をビリヤミ夫婦に譲り、カトリを連れてトゥルクの父の屋敷に移る、というものだった。学校にも通わせてもらえると聞いて感激するカトリ。
カトリはトゥルクに行く許しを得るため祖父母のもとへ帰ることにした。カトリはアベルを都会に連れていくことに不安を感じ、ペッカのもとに預けることにする。カトリが実家に帰る日、アベルは綱がほどかれたとたんカトリを追いかける。
カトリとペッカはマルティを訪ね、3人は湖で「夢」について話し合う。マルティはカトリが独学で算数を学んだことに驚き、ペッカはマルティが成長したことをほめ、自分もうかうかしてはいられないと発奮する。
カトリはマルティの父親の誕生日パーティに招かれる。しかし、意地悪なヘレナがわざとビールをひっかける。「刺繍入りのハンカチでふいてあげる」というヘレナに、カトリはそのハンカチはただの安物で、どこにも刺繍など入っていない、と逆襲。
マルティがお父さんからの贈り物と、お金を持ってきた。カトリは断るが、おじいさんのすすめで受け取ることにする。出発の日、エミリアはカトリから学校に行かせてもらえると聞き、「その幸運はあなた自身の努力でつかみとったようね」と言う。
カトリが貨物室にアベルの様子を見に行くと、かごを抜け出したアベルが飛びついてきた。カトリと車掌が押し問答しているうちに、アベルが脱走! しかし、そのおかげでカトリはアッキと再会。カトリはアッキとエミリアを引き合わせる。
カトリは食堂で食事をすると聞いたイーネスは、食卓についたカトリに新聞を声に出して読むように命じる。新聞の難しい論説を読み、『カレヴァラ』まで暗唱するカトリに、イーネスはたじたじとなる。
カトリがロッタ、クラウスと共に散歩をしていると、目の前で自動車が止まった。運転していたのは免許をとって3日目のソフィア。ソフィアは3人を車に乗せ、屋敷まで送ってくれるが、荒っぽい運転にカトリとロッタはふらふらになってしまう。
ロッタがスウェーデン行きの船に乗る日がやってきた。カトリが屋敷に戻ると、イーネスが待っていたかのように広いホールの掃除を命じる。カトリはロッタが帰るまでの1か月、どんなに働かされようとちゃんとやってみせる、と心に誓うのだった。
カトリがホールを掃除している間、退屈なクラウスはアベルを連れて屋敷の外に出て行った。カトリは、庭師とともに捜しまわる。途中、レオという少年が捜索の手伝いを申し出てくれ、無事に茂みの中でクラウスを発見。
カトリは豪華な花瓶に花を生けるが、それがイーネスの逆鱗に触れる。花を取ろうとした時クラウスがカトリを引っ張り、花瓶は床に落ち粉々に! 兄は許さないと言うイーネス。しかしエリアスは、クラウスの面倒をみてくれたカトリに感謝するのだった。
カトリは少年レオと再会。学校に通えるというカトリに、レオは「自由学院」に入学するよう勧める。イーネスが胃痛になり、カトリはソフィアに往診を頼む。やがてロッタが帰国。お土産のランドセルを受け取ったカトリは、喜びに飛び上がった。
ロッタはカトリの入学手続きのため自由学院に出向く。カトリがレオにそのことを話すと、レオは大喜び。入学試験の前日、アッキとエミリアの婚約を知る。みんなの応援を受け、カトリは入学試験に挑戦! 結果はなんと特待生として入学することに。
ある日、おじいさんからお母さんがカトリに宛てて書いた手紙が転送されてきた。お母さんのサラは病に倒れ、今、トゥルクの病院にいるらしい! カトリは病院へ走る! 6年ぶりの再会を果たした親子はしっかりと抱き合うのだった。
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