ちょげみ

ボールルームへようこそのちょげみのレビュー・感想・評価

ボールルームへようこそ(2017年製作のアニメ)
4.6
【あらすじ】
「何か一つでもいい、胸を張って好きだと言えるものがあれば。」
何をしたら良いかわからない平凡な高校生富士田多々良はある出来事をきっかけに、地元にあるダンススクールに通い出すことになる。
社交ダンスに触れ、社交ダンスを知っていく中で徐々にのめり込むようになり、ついには大会まで出るようになるが。。。


【感想】
本作は楽しく踊ることを目的にした社交ダンスではなく、他の選手と踊りの技術を競うことが目的の競技ダンスを描いた作品です。

作中で触れていたのですが、どうやら競技ダンスというのは競技人口が少なく、かつほとんどの人が小学生など若い頃から始めるため、大会に出てくる人の多くは顔馴染みだそう。
また、競技ダンスというのは見栄え、つまりシルエットというのが一つのキーになってくるスポーツでもあり、その点でいうと長身痩躯という言葉からは程遠く、こぢんまりとした体格の主人公の多々良君はかなり不利なわけですね。

しかしながら、持ち前の努力家としての側面と、パートナーの呼吸を読む能力(?)によって、彼はメキメキ上達していきます。


で、本作で異彩を放っている、大きな魅力は大きく分けて二つ

①競技ダンスというアーティスティックなスポーツが持つ魅力を見事に視覚化している

競技ダンスというのは、もちろん技術を競うものであるわけですが、全てを言語化、機械化して採点できるというわけではありません。(たぶん)
音楽や絵画などの芸術と同じく、明確に言語化できないアーティスティックな側面、感覚的なモノというのがあり、それを本作は見事に視覚化しています。
それは踊っている主人公達が感じている内的イメージだったり、観客側が感じたイメージだったりします。
つまり視覚的に美しい、度肝を抜かれる場面が多いということです。。。


②パートナーとの衝突(共同作業)がいいね

ダンスは男女二人でペアを組み踊るスポーツという、なかなか類を見ないスポーツであるわけなのですが、否が応でも向き合わなくてはならないのがパートナー。
当然初めて組むパートナーとは呼吸が合わないことが多いわけで、それはただ技術的な問題で解決するということではありません。
ダンスというのは人生のあれこれというのが滲み出ているものであり、呼吸を合わせるためには、その人が持っているイメージだったり、価値観だったり、スタンスだったりの擦り合わせが必要になっていきます。

実際に多々良君も3人の女性とパートナーを組みダンスに臨むわけですが、彼女らのダンスは三者三様で決して画一的なモノではありません。
その時に彼ら彼女らはぶつかり合いを余儀なくされて、時に互いを称え合い、時に罵り合いながら少しずつ呼吸が合っていきます。
そして、二人の戦いの総決算として、大会に臨む。。。

パートナーでの戦いでもあり、自分との戦いでもある競技ダンス、その底が知れない魅力というのをこの作品を通じて学ぶことができました。
興味本位で見始めたものの、あっという間にこの作品の虜になってしまい、最終的にはスポーツアニメの中で3指にはいるほど好きな作品になりました。

最後に、、、、主題歌は最高です。
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