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ひろがるスカイ!プリキュアのとがぴのレビュー・感想・評価

ひろがるスカイ!プリキュア(2023年製作のアニメ)
5.0
異論は大いに認める上で「1番面白いプリキュア」。エピソード単位の満足度が非常に高く、各キャラクターの配置図やその関係性の描き方が凄くシックリ来る作品だった。

「多様性」って表現がどうしてもプリキュア作品を評する時に付き纏いがちなんだけど、小難しい意味での使い方じゃなくて、自分はキャラクターの組み合わせ自体に「多様性」を強く感じた。

例えばましろん1人を取っても、ソラとの組み合わせみたいな「鉄板」は用意しつつも、大人の理想像のような描かれ方を度々されていたあげはさんとの「幼馴染ペア」だったり、ツバサくんもあげはさんだけじゃなくプリンセスとナイトという形でエルちゃんとの組み合わせもアツかったりする…など。

勿論そのどれらもが押され過ぎてる感じがしなくて、「どれもあっていいよね」という一見宙ぶらりんで中途半端に見えてしまう要素を「塩梅」としてやりきったのは腕っぷしがないと出来ないこと。

正直に言うと当初は前作であるデパプリをかなりの火力で推して観てた為、そこまで前のめりになって観てなかったのだけど、ファーストシューズ回である13話辺りから一気に個人的にエンジンがかかった印象。22・23話の挫折からの再起を描いた回は語り草。

強化フォームもなく、初期技のアップドラフトシャイニングを秋頃まで貫き通したのも単調さはなく、あの技が「初期技」というメタ視点が為に弱く描かなくても成立する事を本編や映画であるオールスターズFで証明しきった。あげはさんがバタフライになった時期含めて、こういう「お約束に縛られない」展開を見せてくれるの大好き。

中々悪どい所業をしたバッタモンダー編に敢えて後半も注力し、「生い立ちが歪んだ人間はそう簡単に更生しない、しかしそれでも…」を描いたプリズムシャイン回(43話)は落とし所も含めて秀逸。道中が不安だったエピソードだけに見事としか言えない。デパプリのナルシストルーもそうだが、ヘイトを溜める系統のキャラのオチを蟠りなく描いてる。

完璧ヒーローではない、常に未熟なりに前進し続けるソラ、優しさと柔らかさで包み、信じる気持ちを貫き通すましろん、知見を広げ、"大人"を夢見るツバサくん、良き大人の見本であるあげはさん、そしてそんな温かい擬似家族4人に囲まれ愛されていくエルちゃん。

彼女達の1年の日々を追いかけるのは本当に幸せでした。

ありがとう、ひろがるスカイ!プリキュア。

彼女達の明日も素敵な日になれ。
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