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カミエラビの鑑賞者のネタバレレビュー・内容・結末

カミエラビ(2023年製作のアニメ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

3DCGのクオリティー自体に問題はない。3Dであれば必ずリアリスティックでなきゃいけないわけではない。これもひとつのスタイル(セルルックアニメーション)。色の使い方なんかもめちゃくちゃ良いじゃんよ。
主要キャラ以外を全部白塗りにすることで、余計に色が映えるし、どのキャラに注目すべきかも分かりやすい。(もちろん虚構性が際立つという結果をもたらすが。)

実存的テーマが濃厚。いじめ、自殺、虐待……etc。濃厚通り越してもはや固形。フタナの話とか今年の某アイドルアニメより遥かにエグい。

彼ら候補の能力が各々の実存的な問題と結びついてるのが良い。(自分なら「愚者の聖典」を世界肯定と結びつけるけど、さすがにこれは安直か。)

利己主義への抵抗。
みんな自分のことばっか。他人が何を望むかなんて誰も考えもしない。そんなやつが神になっちゃいけない。これがラルの主張。
「あなたは選ばれました。願いを吹き込んでください。」利己主義的な問いに始まりながら、最終的に利己主義を批判する道筋には驚いた。こんなん誰が予測できんねん。
ただしラルの主張は神の定義に依存する。神をみんなの願いを叶える存在として捉えるか、自分の望みを何でも実現できる存在と見なすか。

最期に別の問題もリョウによって提起される。つまり自分の望みは自分で叶えるべきかという問題。

今後どこに向かうのかは皆目見当もつかないけど、絶対に見届けたい。

OPもEDも良かった。OPのELAIZAがあのエライザだと気づいたのが終盤に入ってからだったってのはここだけの話。
鑑賞者

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