まぐらいだあ

勇気爆発バーンブレイバーンのまぐらいだあのレビュー・感想・評価

勇気爆発バーンブレイバーン(2024年製作のアニメ)
3.5
勇気爆発するアニメだった。

放送前のPV段階ではリアルロボットもののような雰囲気だったが、このタイトルは何かあるぞ。完全にスーパーロボットのタイトルだからおそらく……と思ったらやはり、ブレイバーンなるロボットが現れた。
しかも喋るロボ。

これは往年の勇者シリーズを彷彿とさせる、スーパーロボット系アニメを王道かつメタ的な視点からアプローチするロボットアニメだったわけで、これはやはりテンションが上がるし、ここ数年のロボットアニメに飢えていた中やっと期待できる作品が現れたとテンションぶち上げていた。

確かに、ベシャリすぎなほど、鬱陶しいブレイバーンだが、その心は熱く勇気が灯っているのがわかる。
だからギャグシーンをはさみつつ(というかこれは半分コメディアニメだが)序盤の展開は面白かった。

しかし、中盤以降は間延びしてくる部分もあった中、ブレイバーンに関する重要な展開が開示され、そこから一気に話が展開していくのだが……
そのどんでん返し的構造は悪くないが、重要なのはそこで繰り広げられてきたドラマシーンが盛り上がらない。
ドラマパートはそれまでにいくつかあったはずだが、一番重要なのは主人公の2人のイサミアオとルイススミスの関係性である。交わらない犬猿の仲だった2人が徐々に仲間意識を持ってバディを組む話だが、スミスの話はちゃんとできているのに、もう1人のイサミが主人公としての視点があるのにも関わらず、内情がまったく見えてこない。2人の関係性が一気に縮まるボクシング話があるが、仲が縮まったとはいえ、イサミの進む方向性が見えてこない。しかもそれは最終話までわからないのがとても致命的である。

ならばイサミの一番の信念は何かとなるが、それは劇中のテーマでもある「勇気」である。
劇中で幾度となく勇気のふた文字が繰り返し提示されるのだが、じゃあその勇気の内訳がまったく提示されないのである。
勇気そのものに何かしらの意味が劇中で明確にされなければならないのに、勇気だけで物事を進んで、あたかもガワだけで勇気という名称を使ったノリで物事が解決していくのだ。
これはギャグとしてならまだしも、このパートに関してはシリアスな物語の延長線上で進んでいくため、ものすごい盛り上がるための良い展開にも関わらず“勇気”が便利な呪文のように繰り返され強くなる展開ばかり。
おそらくイサミアオの勇気の内訳が、人類を守るためだとしたら、その人々を守るという目標を決める感情描写は必要なはずだ。
これだと勇気と言うだけの寒いノリになってしまって非常に残念なロボットアニメになる。
そういう熱さの作品ならグレンラガンだってあるし、むしろ少しオマージュ的な部分も感じられるが、あちらの方が何倍も熱い。

ブレイバーンのビジュアルもスミスのキャラも良かったが、イサミアオだけがこの作品のマイナスポイントだった気がする。
1クールでややバトルパートが早足気味だったが、バトルシーンだけはめっちゃ良い。
うまくまとめた風の作品だった。