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魔女と野獣のslowのレビュー・感想・評価

魔女と野獣(2024年製作のアニメ)
2.7
「世界を滅ぼす力なんてのはいくらでもあるのさ、この世界にはね。」
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{あらすじ}
魔女の呪いを受けた化け物少女ギドと魔術師の男アシャフの二人が各大陸を巡り魔女事件の解決に挑む物語。

ゴシックテイスト風のダークファンタジー。
世界観の雰囲気は『魔法使いの嫁』に近く、近代寄りの世界観で一見すると美女と野獣を彷彿とさせる恋愛風のタイトルだが、実際のジャンルはまったく異なる。

「魔女」とは宿敵のことを指し、「野獣」と呼ばれる少女が本作の主人公。
旅の目的は魔女に対する復讐であり、本作はそういった“誰かに対する復讐心”を扱ったエピソードが多い。

本作の大きな特徴は話をダラダラと引っ張ることなくサクッと終わるところ。

ほとんどが2話構成、長くても4話構成で紡がれており、事件一つ一つに繋がりもあまり無いため、同じ世界観で描かれた作者の読みきり漫画を見せられてるかのような体感だった。

取り扱う話は「魔女事件」がメインだが、敵として登場するのは魔女だけではなく、老若男女さまざまなパターンの敵キャラが登場するので安心していい。

本作はバディモノなのだが、3話から別のバディをメインにしたエピソードが唐突に始まり、彼らの魅力を存分に引き立てた後、5話以降から彼らは登場しなくなる。
…たぶん、作者はとんでもなく飽き性なのだと思われる。

洋画好きなら分かるオマージュネタが多く、『ハムナプトラ』や『ロードオブザリング』を意識した場面にはニヤリとさせられた。

お話の内容はハガレンをシンプルにした感じとも言えるし、ドロヘドロから汚さを抜き取った代わりに上品さを取り入れた感じでもある。
なので、好きな人には好きになりうる作品だが、いかんせん主人公の設定に縛りがあり、その縛りが物語を盛り上げにくくしているため、終始「地味」な印象を受けた。
作画の質は回を増す毎に劣化。
アニメ独自のカメラワークはお世辞でも上手とは言えない仕上がりになってることも地味に感じた大きな要因だろう。

けれど設定の一つ一つは大変面白く、SCPにありそうな想像を膨らませるものばかり。
なので作者はこのお話を漫画にするよりも、本作の世界観を用いた設定資料集を世に出したほうがいい。
そっちのほうが絶対、人気が出る。
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