酔狂侍

BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライの酔狂侍のレビュー・感想・評価

4.0
青い目をした混血であるが故に、虐げられ、盲目の刀鍛冶のもとで育てられた女「ミズ」が、性別を偽り、剣士となって自分の不幸の元凶である4人の異国人に復讐しようとする。

ベースの物語は、こんな感じだけどこれだけでも情報量たっぷり。

様々な因果と、ユニークで愛すべきキャラクターが絡み合って、日本を舞台に借りたR指定のドラマチックな時代劇アクションが展開する。
しかもこれ、NETFLIXが配給する海外制作のアニメーションシリーズなのだ。

CGアニメであることが気にならなくなるくらいに、美しいアートワークが魅力的であり、絵本のような美しさと、血飛沫や、腕や首が飛ばされるバイオレンスが両立している。
スピード感抜群の殺陣は、かなり魅力的。

シナリオは、「ローガン」とか「ブレードランナー2049」のマイケル・グリーン。
声優にケネス・ブラナーの名前が見えたりすることに興奮する。
しかし、10年、20年前にその手の作品から感じた、大きな違和感はそこにはない。
もちろん、細かな設定や、キャラの名前に可笑しなところはあれど、創作として許される範囲だし、細部にわたって日本文化への理解とかリスペクトが感じられ、その上で、自由に創作していることが窺える。
一見してそれはおかしいと、拒否反応を起こしそうな、致命的な不理解が無いのだ。
相当、頑張って勉強した上で、彼らが語りたい侍ファンタジーを表現していることが、ピシピシ伝わってくる。

一方、なぜそこでってところで、民謡の「会津磐梯山」が流れたり、布袋寅泰が映画「キル・ビル」に提供した楽曲が流れたりもして、もはや、どこまでが彼らのセンスで、どこからネタなのかわからない面白さもある。

海外のクリエイターが、高いレベルで日本を舞台に時代劇を創り出せる時代が来た。
ある程度正しい文化的理解をベースに、世界レベルの創造力が日本の時代劇に発揮される可能性は、もはや充分に、ありえるのだと確信した。
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