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キャロルの終末のKasaのレビュー・感想・評価

キャロルの終末(2023年製作のアニメ)
4.5
中年女性・キャロルがある仕事と出会う。地球滅亡間もない週末の世界で、少しずつ自分と周囲を幸せにしていく物語。

ブラックなユーモアが詰まった哲学的なセリフたちが印象的。かなり大人向けなアニメ。
細部まで丁寧に作られていて、絵を描く者としてはとても勉強になった。
思わずメモを取りたくなるような構図や演出がたくさん。

「地球が滅亡するかもしれない」ということ以外はとても地味な作品。
派手な出来事よりも、登場人物の感情と繋がりに焦点が当てられている。
去年観たブラッシュアップライフや、エンパイアオブライトにも似たものを感じた。
今後こういうテイストの作品がもっと増えるかも。増えたらいいな。

このアニメの舞台は「終末の世界」。だけど今の日本や世界(特に先進国)が近い将来行き着く先を描いているようにも見える。
つまり、十分すぎるほど便利な世の中になると、今ある人間の仕事が意味を持たなくなる。そうなったとき、誰と、何をしたいか?というテーマ。
(私の場合は、今会える友達と盛大にお別れをして、家族と暮らしながら食卓を囲んで終わりたい)

キャロルや周囲の人たちをぎゅっと抱きしめたくなるような素晴らしい作品。
ぜひ全員分のフィギュアを発売して欲しい。出なかったら自主的に作りたいぐらい。
 
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