Yuichi

ヴァイオレット・エヴァーガーデンのYuichiのネタバレレビュー・内容・結末

1.0

このレビューはネタバレを含みます

絵が美しく、涙なしでは見れないという前評判に釣られてみたのだけれど、1話で離脱。

軍人が、孤児を利用して、人権のないような状態で育て上げて、戦争が終わるタイミングで自由になれ、愛しているって言葉を投げかけるのは、あまりにも女性蔑視が過ぎるのではないか。

自由を奪い,人権を奪い続けて、最後に愛情に見せたもので許されるとでも言っているのだろうか。全くもって納得できない。




以下、最終話まで見ての感想を改めて。

例えば、天文台でのシーンは、なんとも女性をある一定の職業に押さえ込んで、出会いの場のように男女ペアで仕事を進めていくことは、とても違和感を覚える。

そのほかにも、自動手記「人形」という肩書きであったり、バイオレットが逆に対して「旦那様」と呼びかけることや、会社の代表がバイオレットのことをちゃん付けで呼ぶことであったり、女性を男性に奉仕するもの、可愛がられる存在、そして、抵抗しない存在として無意識に描かれているのではないだろうかと思われる描写が散見される。


さて、ここでおそらくタイピストは女性の社会進出の存在として、最初に出たのだから、そう言った待遇はしょうがないという反論も予想される。
また、バイオレットを武器として使っていた軍人は、本当はバイオレットを武器として使いたくなかった、断ったのに,バイオレットが勝手に来てしまった。だから、彼は悪くない。
このような反論も予想される。

しかし、ポイントは、この作品で描かれている女性たちがこのような扱いに対して、意識的な反抗、抵抗、もしくは、違和感を提示しないことである。
世の中にはまだまだ、女性差別は蔓延している。そのため、現実を反映させれば、その作品は自動的に、女性蔑視になると言っているのではない。

重要なのは、それに対して、男性も含めて、その世界の中の人間がどう反応するかである。その状況を粛々と受け入れるのであれば、それは、つまりサイレントマジョリティになり、現状への肯定である。
そういう意味で、この作品は女性蔑視を意図的に含んだのではなく、現代の感覚をもって生み出し、そこに意識的に,批判的になれなかったが故に、女性蔑視を含んでしまったのであろう。

この作品が女性の社会進出を描いているというのは,なんとも悲しい限りで、現代の日本の限界を反映してしまっている。
Yuichi

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