フジモト

Fate/Zero 1stシーズンのフジモトのレビュー・感想・評価

Fate/Zero 1stシーズン(2011年製作のアニメ)
5.0
昨年10月より続けていた、アニメ「Fate/Zero」の自主再放送が本日最終回を迎えた。

Fate/Zeroは10年前、私の脱オタクを失敗させた作品である。
もちろん原作の小説も読んだけど、私は「アニメ」Fate/Zeroが一番すき。
私は前述のとおりオタクなんで映画とか漫画とか、フィクションの世界がすきなんだけれども、それらすべての媒体ひっくるめて一番すきな作品がこのFate/Zeroだ。今のところ。

自分のなかでの想いが強すぎて、改めてすきなところを書いてこうとすると結構むずかしい。
とにかく最高なんだ、と言いたいけれど、なるべく平静に、客観的に、すきなとこを書いていきたいと思う。

そもそも私は小さい頃からオタク気質ではあったのだけど、アニメにはあんまり興味がなかった。
例に漏れずジャンプ漫画とかもすきで、水曜7時くらいに放送されてたアニメを見てはいたんだけど、ほとんど記憶に残っていない。
あのときのOP映像よかったな〜とか、石田彰の記憶くらいしかない。
漫画を読んで自分がイメージしていたシーンとアニメの映像がイマイチ重なり合わなくて、自分のすきなタイミングでページをめくってセリフを想像したほうが楽しいなと感じていた。
制作の方々に失礼だが、アニメは自分にとって「よく動く紙芝居」程度の認識だった。
(今となっては、もちろん制作にはそれぞれ許された時間や予算があることを承知しております)

アニメがそこまですきじゃなかった私が、なぜFate/Zeroは速攻ですきになれたんだろう。
これには確信に近い答えがあって、この作品の随所に「映画的な」映像作りがあったからだと考えている。
アニメーション制作についてはズブの素人なのであまり詳しいことがわからないんだけれど、Fate/Zeroの映像はなんか「アニメっぽくない」。
例えば急激に視点が動くカメラワークで移動先の視界がぶれたりする、狙撃シーンでは狙撃の瞬間が3カメで映されたり、狙撃直後の振動が描れていたりする……そういうのを私はそれまでアニメで見たことがなかった。
アニメよりは映画をよく見ていた自分にとって、それまでの自分が知るアニメに対して感じていた視覚情報の物足りなさを、Fate/Zeroにはまったく感じなかった。
ごく自然に、映画を見るのと同じ感覚で見ることができた。
これは多分あおきえい監督の手腕によるものだと思う。
映像作りとは少し話が逸れるけれど、2話のアサシン侵入は「オーシャンズ12」を、24話のセイバーがバーサーカーに頭を踏みつけられるシーンは「ターミネーター2」を、最終話のアーチャーが聖杯の泥に飲まれるシーンは「デイライト」を思い出す。
あおき監督は映画がお好きなんだろう。多分。

そして、ufotable制作の魅力として「美麗な作画」が挙げられるのはご存知だと思う。
実際このころから「神作画」という言葉をアピールポイントとしてよく聞くようになった……気がする。
ただ、作画が綺麗ということで勧められて見てみたアニメのなかにも、見終えてみるとあまり記憶に残らなかったものもある。
私がFate/Zeroで一つひとつのカットに心動かされるのは、単に「作画がいいから」という理由だけではない気がする。(もちろん作画はよいのだけど)
私がFate/Zeroの作画に感じるのは、「ここはキメます」の連続であるということ。
どうしてもこのカットはキメたい、絶対こういう風に見せたい、という意志がキャラクターの視線の向き・カゲ・髪のかかり具合などからヒシと伝わってくる。
私は絵がヘタクソなんでいったいどんな理屈でそんなふうに見せられてるのかわからないが、とにかくそう見える。
さらに大事なのが、その「キメたい」が常に高いボリュームで連続している点だと思う。
油断が見えるカットというか、「捨てカット」が圧倒的に少ない。
アニメ制作には限られた時間と人手と予算でどこまで品質を上げられるかという課題が常にあると思うから、そんななかであの常時キメキメなカットが連続するって本当にすごいことなんだろう。
アニメーターの方々、限界だったろうな……
いろんなことがあり怒られたりもしたufotableだけど、私はやっぱり感謝せずにはおれない。

ほかにも梶浦さんの音楽とか、声優陣を一人ずつ挙げて誉めそやしたいところなのですが、その辺は今までツイッターとかにもぽろぽろ書いてたので、今回はこれまで書き出したことなかった映像についての自分なりの感想を整理するに留めておきます。

Fate/Zero、10周年おめでとう。
今までありがとう、これからもよろしく。
「クラナドは人生」って言葉があるけど、その気持ちわかるよ。
Fate/Zeroは人生!
フジモト

フジモト