えふい

プリティーリズム・レインボーライブのえふいのレビュー・感想・評価

5.0
アイススケートをモチーフにした競技、「プリズムショー」を題材にした女児向けアニメシリーズの3作目。ショーを通じての人間模様を主軸にストーリーが展開され、「プリズムジャンプ(必殺技のようなもの)」含めその演出は、『ラブライブ!』シリーズでも手腕を発揮した京極尚彦氏が手掛けている。

親や子、友達との確執。秘め事や嘘──本作の登場人物は、誰もがその背に多かれ少なかれ“業”を背負いあるいは背負わされ、それが全51話という、週末朝アニメの特権たる長尺をふんだんに利用して描かれる。そうして積もりつもったフラストレーションが、プリズムショーにのせて解放されるに至るドラマ性とカタルシスこそ本作の特徴であろう。特に2クール目ラスト、メインキャラクターのひとり蓮城寺べるにふりかかる受難と逆転劇、そして最終盤に披露されるショーの演出は、彼女が主人公なのかと見紛うばかりだ。
ではいかにも主人公然とした主人公、彩瀬なるがその座に相応しくないのかというと、否である。

「俺たちが目指すのは勝者じゃない、勇者さ」

誰が勝者で、誰がアンサングヒーロー〈歌われぬ英雄〉なのか。その違いはどこにあるのか。多種多様な親子関係──決して良好とはいえないそれも含めて──はじめ、本作は語りたいシーン、テーマに溢れている。決して“子供騙し”に終わらせまいという、製作陣の決意をひしひしと感じさせてくれる。序盤こそ平和でいささか退屈なのは否めないが、すべてがクライマックスへと積み重なっていく無駄のない脚本に唸らされるばかり。

いつの日か本作を観るかもしれない貴方に、プリズムの煌きの祝福があらんことを。
えふい

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