八朔

どろろの八朔のレビュー・感想・評価

どろろ(2019年製作のアニメ)
4.0
MAPPA作品なので当然だけど、空とか光の描き方が美しくてため息出た。彼岸花が咲き乱れているシーンはうっとりするから、水彩画とか好きな人は是非見て欲しい。
原作をベースにした上で現代視聴者の価値観に合わせて細かいストーリーや設定を変えているから原作を知ってる人は好き嫌いが別れる…かな?どうだろ。
私はどっちもそれぞれ別の作品として好き。
百鬼丸に関しては、圧倒的にアニメ版が好き。かっこよすぎる。最終話のラスト百鬼丸の微笑にやられない女子います?
あと、"体だけ成長した心は小さな子供"だった百鬼丸が体を取り戻す度に音や匂いに触れて少しずつ人間らしさも取り戻す姿が、本当に愛おしい。
人間らしさを取り戻すほど人間の弱さも身につけていくから、傷付けられたり奪われたり守りたいものができる事で不安定になる百鬼丸の為にどろろの存在はあったんだなぁと思うと、どろろの聡明さと強さに感謝しかない。
他のキャラクターもアニメ版の方が人間くさいというか、多面的な正義に悩む人間らしさの描き方が繊細で切ないからこそ物語全体に深みがあって好み。
読み手の数だけ見る角度があるから、完全に私個人の解釈だけど、原作同様、「生きるとは何か」「人とは何か」を問いながら「己の在り方」を考えさせられる作品だった。
手塚治虫作品が好きな人はきっと好き。
どろろに励まされたくなったら、また観ようかな。
八朔

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