コーヒーの移動販売をする主人公というのが良い。原作は読んでいませんけれど、世界を相手に事件や冒険が繰り広げられるのとは対照的で、とても嬉しいです。
主人公には後ろめたい過去がある…というのが、ちょっと「マンガやな」と思っちゃうところです。マンガが原作なので「そのとおりですが、何か」と言われて終わるだけの話です。そこはしょうがない。いい空気がある作品です。
キャストも良いです。主役の中村倫也。軽さも重さも兼ね備えていて、声の使い方もいいです。夏帆は、そう、そういう役でお願いしたい。新しい扉を開くのは止めませんけど、やっぱこういう役で拝見したいです。磯村勇斗は、ナチュラルすぎるでしょうか。もうちょっと深みが出せると思えるのでもったいないと思います。作品にはマッチしていました。
肝心のストーリーは、あまり褒められたほうではないと思います。でも、奇をてらってるわけではなく、あくまでも旨いコーヒーを淹れて提供したい男と、彼をとりまく人たちのお話に終始しているのがパーフェクトです。主人公の振る舞い、周囲へ与える影響。そのトーンを味わうことが第一。むしろ余計な事件が要らないとさえ思えるのでした。
ドラマ版オリジナルの客にまつわるお話を、どんと増やして、また見たくなる。そんな良さがありました。
