Kaji

ヴィンチェンツォのKajiのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィンチェンツォ(2021年製作のドラマ)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ストーリー、エピソード、テーマ、キャスト、演出、音楽、、、
全て好みの最愛ドラマになった。


出てくるキャラクターたちは、悪事を働くが揺るぎない倫理観があって、揺らぎが生じるのは、チャヨンであるけど彼女も目的完遂のためにブレている訳ではない。自分の中の正義がまだ善や潔白を求めていて足踏みした、という程度で、あくまでも目的のために飲み込まないといけないカサノ氏の流儀を尊重していた。

どこを切り抜いても、展開と布石が抜かりなくて1話完結型と1クール完結型の伏線と回収も結構満足しています。
どの回もめっちゃかっこいい。
ラスト2話で、急旋回するパワーバランスを経て、空港と歩道橋でするサラッとした会話。ラブフラグをかもしながらも友情を感じさせる主演の演技に拍手。中盤エピソードからちょっとこそばいぐらいの前置きをして、渋いラブバラード(John parkのI’m always by your side)が流れるほんとに大人でおしゃれで臭くないラブシーンは素敵だったし、ラストのナレーションで解き明かされる回文構造。。2周目、3周目見るじゃん絶対。脚本上手いよなー!

チャンハンソクのオクテギョン、めちゃくちゃ熱演で、悪人乱立のキャラクターの中の真の悪。ラストシーンも壮絶。財閥のグエムルを完遂し俳優の仕事が増えるんではなかろうか。めっちゃくちゃよかった。
チョンヨビンは急進若手から実力派に邁進して、今後もどんどん観たい人です。すっかりファン。
(恋愛体質もぜひ見てください。「楽園の夜」も最高)

余談ではありますが、悪対悪構造は、クリストファーノーランの「ダークナイト」で純粋な悪(善の否定ではなくて、善を悪魔化させる存在)からトッドフィリップスの「ジョーカー」(悪の誕生は狂気ではなく承認欲求が契機)という、ダークヒーローの限界値がエンタメ界から出ていることを踏まえてあると思いました。
正義のみかたのツルぴかヒーローだけが、世の中の不条理・不合理な事を正して万事解決ってのは大嘘なんですよね。かっこいいけどね。

ヴィンツェンツォとハンソクの対峙に、人質のチャヨンそして弟ハンソに「ヴィンツェンツォを殴れ」と指示するシーンは、「ダークナイト」で二隻の船に双方爆破ボタンを持たせて、引換条件を出すジョーカーの取引にインスパイアされてるのかなと。
 そこで奮起するハンソ、最高だった。ずっと影武者だったハンソが本心で動いたのがあの極限状態で。


クムガプラザの面々は愛おしいし、どこまでもかっこいいソンジュンギ。
最初「マフィアっぽくないな」って思ってたけど、もう後半にかけての悪辣かつ残忍、どこまでもクレバーな策士っぷりは、固定化されたマフィア像に一石を投じたのではないだろうか。とにかく私はすっっっっっっっごいハマったので、ヴィンチェンツォロスで地球に穴が開きそうである。
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