りっと

ヴィンチェンツォのりっとのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィンチェンツォ(2021年製作のドラマ)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

悪を以て、悪を制す。
イタリアンマフィアのコンシリエーレであるヴィンチェンツォ・カサノ。彼はソウルのある雑居ビルの地下に隠された金塊を手に入れるため、母国へと戻ってきた。金塊が眠るビル、クムガ・プラザの住人達を立ち退かせようとする中、悪事を行いその過程でクムガ・プラザの取り壊しを目論む大企業バベルとの闘争に巻き込まれていく。

悪を以て、悪を制す。
だからこそ、弁護士達が主人公でありながら、全てが振り切っている。それがいい!
いやぁ、キャストの皆さん、これを演じるの、楽しかっただろうなぁ~というのが伝わってくる。

シリアスなサスペンスかと思いきや、飛ばしまくりのコメディーが効いてくる。
笑いあり、涙あり、規模もでっかく、先手打ちまくりの対決で、大どんでん返しのど連続!
最高のエンタメドラマでした!

伏線回収の仕方も見事だし、テンポ感も良く、最初から最後まで飽きることがない。
イタリアンマフィアという要素を意識してか、絵作りもお洒落。
最近の韓ドラネタをちょこちょこ盛り込んでくるのも笑いました。
あと、今のシーン絶対深い意味のないソン・ジュンギタイムですよね?っていうところ、躊躇なく開き直ってやっていたので好きでした笑

ヴィンチェンツォを演じるソン・ジュンギはさすがソン・ジュンギ!という一言に尽きる。
甘いマスクを活かしつつ、血も涙もなく人を殺す冷酷な一面を見せ、コメディーシーンから息もつけないアクションシーンまで。全編通して、色々な意味でぞわぞわさせられました。
そしてホン・チャヨン弁護士!チョン・ヨビンのコメディアンヌぶりが最高でした!もうめちゃくちゃ笑わせてくれる!そしてかっこよくて美しい!のに大口開けて寝てたりするし笑 チョン・ヨビンは『save me』のシリアスな役しか見たことがなかったので、もっと色々な役を見てみたくなりました。でっかいサングラスと格好いいスーツの組合せが最高に似合ってました~。
それからチャン・ジュヌ。この振り切った作品一振り切っていたと言ってもいい!狂いっぷりが素晴らしかったです。オク・テギョンってこんな演技もできるんですね、もっと見たいです!
チャン・ジュヌの弟、チャン・ハンソは本作一好きになってしまったキャラクター。本当に、何度「ハンソ…」と名前を呼んだことか。ジュヌの操り人形として生きてきた彼が徐々に意志を持って動き始め、詰めの甘さや欲深さ、知識の欠如が目立つ中、ヴィンチェンツォと関わる中で少しずつ心境が変化し、成長していく。本当に、ハンソが変わっていく姿が愛おしくて、ハンソの最後は、もう、涙が…死なないで…脚本無慈悲すぎる…。このハンソというキャラクターの成長、無邪気な愛おしさを演じ切ってくださったクァク・ドンヨン、めちゃくちゃファンになりました。
そして本作の素晴らしさは愛おしい脇役たちの存在があってこそ。
クムガ・プラザの住人たちは皆愛おしく、これだけ人数がいるのに皆キャラが立っていて、「実は」という秘密もそれぞれ楽しかったです。愛のある脚本だなぁと思うポイントの一つでもありました。
クムガ・プラザファミリー以外ではキム・ソンチョルのファン・ミンソンが好きでした!「テ・ホ!?」のテンション、もだえるほど好きでした。ファン・ミンソンも成長できる良い子だと思うので幸せになって欲しい…。

最終話、ヴィンチェンツォは多聞天に例えられていました。夜叉と羅刹の悪鬼を従え、お釈迦様の教えと衆生を守る。仏教の世界にも帝釈天や阿修羅など、力を司る神がいて、彼らは力を行使しつつも仏法を守っている。ここに例えてくるのが面白いな~と思いました。
好きだったのは「仲間とは二つの身体に一つの魂が宿るもの」というセリフ。魂レベルの共鳴、とても胸に響くものがあります…。

ここまで書いたことに加え、コロナ禍でロケが出来ない中、技術を駆使してイタリアのシーンを再現しているところまで含め、さすが韓国ドラマ!素晴らしいクオリティ、コンテンツ力。どこまでも振り切った、最高のエンタメドラマでした!
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