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ロング・ナイト 沈黙的真相のmayaのレビュー・感想・評価

ロング・ナイト 沈黙的真相(2020年製作のドラマ)
4.5
厳良刑事の「事件を引き揚げたら、水の底にあなたたちが居た。闘い続けるあなたたちは私よりずっと孤独だ」という言葉がこのドラマの良さをぎゅっと詰め込んでる。3つの時代を、過去を引き揚げるように辿る構成なので、未来を知った上でみんなの奮闘を見るのは辛かったが、最後2話で「過去の人たちからのメッセージが時を超えて未来の人たちに届く」という本作のテーマの力強さを感じて、11話以降、登場人物たちがこちらを見つめて口元だけぼかされているコンセプトイメージ観ただけで泣いてしまうよ...

白宇目当てで観始めたんだけど最後全部感情を張曉倩に持ってかれた。
子どもの頃の李雪がラジオでたまたま韓局長のコーナーを聞き、持てる小さな力を振り絞ってヘルプを求め、韓局長らその場にいた大人たちが即座に気づいて具体的な助言を行ったシーンはここ最近見なかった「力無い子供の声を、大人が聞いて力になってくれる事がある」という希望に満ちた展開で、10話まで地獄だった分「やっと、やっと」とボロ泣きしてしまったし、それが未来に繋がっていたこと、彼女が朱偉にかけたコールが長い時をかけて張曉倩の元に届き、張曉倩が李雪を救うために最後の鍵を開けるのは本当にアツい。

彼女が記者職につけて、村を抜け出し新しい人生を手に入れたのは、侯貴平があの村にやってきたからなんだと思うと、全ての人たちの孤独な良心が繋がりあっていて胸がいっぱいになる。
正直おどろきのトリックも真実もあるわけじゃ無いんだけど、厳良チームも、火鍋組も、関わる人たちの勇気が、全てのはじまりの侯貴平の良心と勇気に繋がっているところに本作の希望と価値がある。原作者は「ミステリの本質はプロット、トリックはその材料でしか無い」と言っているのだけど、納得のラストだった。
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