池松律子という女性の生涯を、律子と関係のあった男性の証言から少しずつ紐解いていく津田口。でも他者から聞いただけでは、分からないだろうなと思った。
貧しさだけじゃない、閉鎖された狭い世界にあった、父親からの暴力···見て見ぬふりをし続けた親の過ち全てを背負わされた子どもたちの息詰まる以上の日々、そして呪縛となった『生きろ』という言葉。まともにはいられないだろうなと思ったけれど、でも律子の事を分かろうとするのは難しかったなとも思った。特に律子と公平の事は。
きっと津田口は、姉の姿を律子に重ね合わせていたんだと思う。だからあれだけ傾倒したんだろうと思うし、だから救いたかったんだろうなと思った。でも、律子と姉は違う。津田口の判断は、検事としては多分正しかったんだろうけど、それは律子には届かなかったんだなと思ったラストだった。