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大豆田とわ子と三人の元夫のikoのレビュー・感想・評価

大豆田とわ子と三人の元夫(2021年製作のドラマ)
5.0
【珍しく長文】
Amazonプライムで観た。
とにかく観ろと周りに言われていた。
とわ子はあなたに見えてくるのよ!!と力説される。

わたし結婚してないし離婚もしてないぞそんなバカなとおもいつつ、観たら友人の言わんとすることはわかった。自分でも、似てるとこあるなぁって思う。ハプニング王で、訳の分からないところで出会って、過去の好きだった人たちとはだいたい友達。

恋人が途切れることがあまりなく、けどここんとこ人にも出会わずで今後一人で生きていくの?それはそれでいいし、まあ楽しくやってるし、でもひとりでいたいってわけでもなく、を考えていた時に観たのはとても良かった。

寂しいって思ってていいんだ。
すべて自分の機嫌を自分でとらなくていいんだ。ってあったかい手のひらを背中に置いてもらえた感覚。

大切な人の死が突然描かれる。
死はだいたい突然で、よく受け止めきれないまま日常をこなさなきゃいけない。劇中でもあったが、言葉にすると気持ちを上書きしちゃうようで口にするのを躊躇う。自分の中に降り積もる思い。
それがとわ子と田中の間で共有できて、関係が昇華していくさまを描いたのは素晴らしかった。

それから、ヤングケアラーであった小鳥遊の過去。あんなに優秀なのに、人との経験が不足していて、ひよこみたいに社長にくっついていることしか選択肢がないと思っている人生。ほんとうに、人物の作り込みがすごい。とわ子と出会ったことでそこから出ていくことができて、よかった。

恋愛に発展してもよかったけど、そうじゃなくても2人の出会いには意味があって、穿った見方をすればアンチ恋愛至上主義にも見える。

お互いに好き同士で一緒にいられたらなと思う相手と居られない、そんな経験をしている人には響きまくったのでは。

カルテットより数段好きな作品でした。
伊藤沙莉さんのナレーションもよかった。
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