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ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきたのhorryのレビュー・感想・評価

3.5
滅亡(ソインググ)とドンギョン(パク・ボヨン)のラブラインと、チャチーム長(イ・スヒョク)と一緒に暮らす後輩ヒョンギュ(カン・テオ)の二人とナ・ジナ(シン・ドヒョン)を巡るラブラインの2つが同時進行。
メインはもちろん、滅亡とドンギョンのストーリーなんだけど、なんというか、トータルとしては非常に惜しい感じだった。

世界から消え去るものすべての理由となるのが滅亡で、余命100日のドンギョンは自分の愛するものを守るために、滅亡と取引をする、と、この導入だけでも面白いし、ファンタジー設定なので多少「どういうこと?」という部分があってもゴリ押しできるストーリー。実際、冷酷な滅亡が死を司る前半は、イングクの演技の上手さもあって面白かった。
ラブストーリーになると分かっていても、どうやって滅亡とドンギョンが親密になるのかな?と思っていたし、2人のやり取りも「死」を挟んでいるにも関わらず軽快で、楽しいものだった。ドンギョンのかわいらしさも良かったし。
それが、ラブパートになると、ありきたりというか、「死」でお涙頂戴になって、もうずっとパク・ボヨンの大きな瞳に浮かぶ涙を見ている状態で。

強くて正しい女性が、世間知らずで手のかかる男性を支えてあげる(男性も女性を支えるのだけど、社会的にはダメな感じ)という設定は、この前見た「九狐とキケンな同居」も同じなんだけど、「九狐とキケンな同居」のイ・ダム(イ・ヘリ)の強さ正しさがとても今風なのに対し、「滅亡」のドンギョンは一昔前の強さ正しさだったのが、ありきたりという感じになってしまったのではないかな。
ドンギョンは不幸な環境にもめげずに自立して働く女性だけど、セクハラ・パワハラには基本、我慢で対応、一番の喜びは家族の幸せ、自己犠牲といった感じなので、健気ではあるけれど、その献身ぶりはちょっと怖い。

設定はとても魅力的なのに、ドンギョンのキャラクターが少し古臭かったのと、後半でやたらと「結婚」「家族」を出してくるありきたりな感じ、神様という謎めいたキャラが活きていなかったあたりが、イマイチだった理由。

ただ、ソ・イングクだけでなく、あの声とポーカーフェイスで冗談を言うイ・スヒョクはめちゃくちゃ魅力的だったし、カン・テオ、ダウォンのアイドル性、子役といえばのナム・ダルムや、キレッキレのオンニだったシン・ドヒョンなど、良いキャラクターがたくさん登場するので、「つまらない」作品ではないです。

追記
「滅亡……」の設定に面白さの1つに、舞台がウェブ小説を出す会社、ということがある。韓国ドラマは女性脚本家が主流なので、ドラマにも女性脚本家がよく登場してきたけれど、女性小説家というのは、あまり知らなくて(「サイコでも大丈夫」は絵本作家だった)、「天気が良ければ訪ねて行きます」に登場して「おぉ!」と思ったぐらい。
韓国ではウェブトゥーンもウェブ小説もかなり大きな市場となっていて、「滅亡……」でもランキングに一喜一憂したり、感想をエゴサしたり、といった描写が出てくる。
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