高杉真宙が料理男子を演じる深夜枠30分ドラマ。
流行りの玄人モノローグ系だが、孤独のグルメに代表されるような味わう過程の解説ではなく、作る過程の解説という新しさに加え、料理中の映像、カメラワークや構図、効果音などの演出が斬新。それもそのはず、複数人のMVの監督が、持ち回りで各エピソードを担当しているからだ。
だが、このドラマの真骨頂は、非モテ設定の高杉が、毎回妄想の女子と一緒に作った料理を食べるというところだ。
料理男子がもてはやされている昨今だが、現実には一緒に食べてくれる人がおらず、ただひたすらにSNSに投稿し、その後は一人寂しく食べるのみという料理男子が多いに違いないということを、どうしても想像させられてしまう。
また明らかな妄想であればいいのに、本人すら混乱するくらいリアルな妄想なので、こじらせた場合たいへんな問題になりそうだなと心配になる。
しかし、妄想女子から少しづつ色んなことを学んでいく高杉が、仕事やバンドの現実世界でも成長していくという奥行きのあるストーリー。そしてラストは、これまでの妄想を脱非モテの伏線としてしまう鮮やかな展開。
エピソードごとに監督を分けながらも、全体として統一されたセンスの良さや、ストーリー、テーマの一貫性を持った連続ドラマ。良いプロデューサーによる仕事と言えるだろう。