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D.P. -脱走兵追跡官-のNのレビュー・感想・評価

D.P. -脱走兵追跡官-(2021年製作のドラマ)
4.0
ドラマ終盤に畳みかける惨さ(むごさ)。これは単なるフィクションに見えて、現実の理不尽さをストレートに表している作品でした。

悔しさ、腹立ち、憎悪、後悔、懺悔、縋り。
このドラマのストーリー(全6話)は、皆が社会で経験し感じるやるせない気持ちを、ぎゅっっと固めて細めたナイフのよう。
その鋭い刃先が私たちの心を一瞬で刺すように、鑑賞後は生ぬるくも衝撃的な"痛み"が伴いました。

この胸苦しい激しさは、さすが韓国ドラマ。
メッセージの衝撃に鑑賞直後は一時後悔すらしましたが、段々と自分の中で消化されて、「あぁ、いいものを観たな。」と思う、そんな不思議な感覚になります。

社会のルールを遵守すること、それが唯一の正解ではない。時に人の心に触れ、添うことを優先するべき時もある。

権力やいじめの問題は簡単に解決できるものではないですが、苦しんでいる人には手を差し伸べたい。物語的には暗いものの、そんな前向きな気持ちにもなれる素敵な作品です。
劇中に出てくるソッポン。彼もそんな人でした。

個人的には、ハン・ホヨル(チョンヘイン演じるジュンホのバディ)の緩くも真っ直ぐな正義感が好きです。
先輩にいじめられているジュンホを助け、一人手を叩く姿は実に滑稽!
時にコメディー要素もあり、とてもおもしろい作品でした。
是非、最後のエンドロールまでご覧ください。
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