実は、ほとんど見てこなかった韓流ドラマ。ロマンチックラブストーリーに食指が動かないことに加えて、流行初期の頃に感じた、日本よりも露骨に家父長制を前提としてくる感じが辛かった。海外ドラマを観る時、日本とは異なる文化を知る面白さと同時に、日本的抑圧からの解放感を感じられる事も、私にとっては大事な要素だったのかもしれない。
「82年生まれ、キム・ジヨン」は小説と映画の両方から韓国フェミニズムの盛り上がりに驚き「はちどり」から韓国の同世代に想いを馳せた。「パラサイト」「ミナリ」で韓国コンテンツがようやく身近に感じられてきたところに「イカゲーム」ブームである。
端的に、はまった。ゲームが知恵や技能をあんまり必須としてないところがいい。もちろん、力が強かったり賢ければ生存率は上がるが、かなり運の要素も大きい。参加者同士が揉めるように仕組まれていたり、信頼した相手と対戦する羽目になったり、ペアやグループを組むときに仲間外れにされないように焦る気持ちとか、人間模様に引き込まれるのは、キャラクターが多様だからこそ。運悪くクリアできなければ死んで消えるだけという非情なルールも新自由主義的な競争社会の風刺に見えなくもない。
ゲームの見物人や黒幕の正体は少しチープだったものの、ポップな映像の気軽なエンタメとして十分引き込まれる。潜入捜査のサイドストーリーは映画版で回収されるのか？！
個性的なキャストも良かった。特に、チョン・ホヨンの暗くて強い美しさ、ホ・ソンテの絶妙なコミカルさが個人的には好みでした。
