しげる

拾われた男のしげるのレビュー・感想・評価

拾われた男(2022年製作のドラマ)
4.0
井上剛演出ドラマに外れなしの法則が俺の中で出来上がりつつある。
「虎に翼」であんなに大根に見える仲野太賀と伊藤沙莉が、このドラマだとすごく自然な演技をしている。
演出の力量の差か。

俳優松尾諭の自伝のドラマ化。
基本、仲野太賀演じる主人公と草彅剛演じる兄の確執の物語なのだが、特に二人の間に何かトラブルがあったわけではない。
ただ幼少期に兄にいじめられていたのが尾を引いており、お互い家を出てからは疎遠になっているという、よくある兄弟の関係性である。
兄がアメリカで倒れたことがきっかけで、兄弟は再会を果たす。
長年疎遠だった二人が関係性を再構築していく様子が、なんともリアル。
家族といえど他人、他人だけども家族。
そんな煮え切らない感覚、誰でも覚えがあるのではないだろうか。
だがこれが味わえるホームドラマというのは、なかなか貴重だなと思う。

仲野太賀と草彅剛のバチバチの演技対決も見所なのだが、それを支える頑固親父・風間杜夫と、ぼやーっとした母・石野真子の演技が絶妙。
主人公の事務所の社長・薬師丸ひろ子、マネージャー・鈴木杏、本人役で登場の柄本明、井川遥もいい味を出している。
のんびりと世界観に浸れる良いドラマだった。
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