ムギ山

舞妓さんちのまかないさんのムギ山のレビュー・感想・評価

舞妓さんちのまかないさん(2022年製作のドラマ)
3.0
是枝裕和だし、種田陽平だし、飯島奈美だしということで、きちんとお金をかけて丁寧に作られたドラマだなあということはよくわかるし、それなりに面白かったんだけど……。

原作のマンガは(アプリでまだちょっとずつしか読んでないんだけど)短いスケッチの連作のような形式で、ドラマチックなストーリーの展開はとくにないので、こういうふうに普通の(30~50分くらいの)ドラマシリーズにするには細部をふくらませる必要があって、そのへんでいろいろ無理が出ている感じ。

たとえば主人公のキヨはそもそも舞妓になるために青森から出てきたのに、早々に引導を渡されてまかない担当に落ち着くことになるのだけど、これについて本人はどう思っているのかが全く描かれないので、正直見ていて(言葉は悪いけど)ちょっと足りないようにも見えてしまったりする。

また第4話で、すみれの父親が娘を連れ戻しにやって来るが、ここで父親がいちばん衝撃をうけるべきなのは娘が青森弁でなく京都の言葉をしゃべっていることではないだろうか? そもそもそんなエピソードは原作にはないので、脚本家が頭だけで考えたオハナシなんだなあという感じ。

あとついでに、第6話に坂東彌十郎と三谷幸喜が本人役で出ているのだけど、これが全く意味不明である。いや高名な歌舞伎役者とそのツレみたいな役柄ならそれでいいんだけど、劇中で舞妓さんが三谷に向かって「私も『鎌倉殿』に出たい」云々と喋ってたりして、真面目に見ていた私は「えっ?このエピソードは年末の話だよな?ということはこれ実は2021年の暮れということ?」と混乱してしまった。まあ大方、三谷幸喜に出てもらえることになって、脚本家がお遊びのつもりで『鎌倉殿』の話でもちらっと入れたら面白かろうなどと考えたんだろうけど、頭が悪すぎる(クレジットは是枝裕和と砂田麻美の連名になっているので、誰がアホなのかはよくわからん)。

役者は(さっき書いたようにキヨがなんも考えてないように見えるの以外は)みんな好感がもてるが、第3話から出てくる出戻りの松岡茉優がヒジョーによい。というか、わたしの叔母さんがホントにああいう感じの人で、なんだか妙に懐かしかったです。
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