いけっち

17才の帝国のいけっちのレビュー・感想・評価

17才の帝国(2022年製作のドラマ)
3.7
大豆田とわ子チームによるSF作品

主人公はAI「ソロン」により総理に選ばれた17歳の少年

斜陽国家となった日本を再興させる為、AIで再興させるという設定。市民がAR技術を用いてリアルタイムに政治参加、死んだ人間について生きている時のデータを元に人格を再現させて会話させる技術など、今ある技術の発展系を使っての描写は近未来の有り得る形としてワクワクする。

主人公の青さや誠実さで心動かされ、周囲が変わっていく物語はある意味王道であり、感情移入しやすく、見易い。裏を返せば展開が読み易く、擦れた大人にはステレオタイプに感じると思う。これは選挙年齢の引き下げにより、有権者になるまでの距離が短くなった中高生をメインターゲットに、政治への興味を促したいのかもしれない。

群像劇になる事を期待したが、5話と短い事もあり、余り多くの人物が掘り下げられる事は無い。また、後半少し早足の展開になり、主人公の因縁が顕在化したタイミングで少し物語が荒くなってしまった。それでも、最後に見せる決断には感じさせるものがあった。見た人に責任について考えさせてくれると思う。

エンディング曲は劇伴も担当されている阪東さん作編曲、羊文学の塩塚さんが歌を乗せている。主人公の心情に寄り添う美しいメロディーと歌詞は素晴らしかった。
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