Clary

らんまんのClaryのレビュー・感想・評価

らんまん(2023年製作のドラマ)
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植物学者 牧野富太郎を参考にしながら描かれ紡がれた物語。

正直なところ、放映前は主人公である槙野万太郎が突っ走って好きなことをして、それを献身的な妻が支える場面多そうで、現代の価値観だと楽しめるのかな?と不安だった。

けれども、この物語は万太郎が好きなこと、そして己に託された運命に向き合いながら、共に冒険した者、それぞれの己を開花させた者、と咲き誇った者たちの物語であった。咲き誇るとは才ばかりではない。それも含めての己。作品全体に優しさを常にどこか感じるけれど、向き合う強さがあるからこその優しさ。発する言葉にも、その人物が言う必然性を感じることが多かった。そして、物語の中には常に植物がいて、登場人物も視聴者も想いをそこへ載せていく。
だからこそ、主人公だけではない、多くの登場人物への愛着、目に簡単に浮かぶ場面の数々。
脚本、演技、演出、主題歌..と力が総結集して成す世界観が素敵で、朝起きるのが楽しみになる半年間を過ごせてよかった。

植物分類学という馴染みのない世界に触れる機会となったのもありがたい。
植物画、植物標本の実物を観に行ったけれど、ドラマがなかったら経験できなかった。

終わってしまって寂しいけれど、でも日常にも目に入ってくる植物にも優しい眼差しを向けたくなる、じんわりとじんわりと心の中に広がるものが残るドラマだったなぁ。
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