ろくちゃん

ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男のろくちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

マイルズ・テイラー演じる映画プロデューサー「アルバート・ラディ」が映画界に入りゴッドファーザーを取るまでの物語。

私はゴッドファーザーの熱心なファンではないが、序盤から70年代のハリウッドの作り込みに驚かされる。
さらに舞台はニューヨークをはじめ色々街に移るが、どれもすごい完成度。
もう一つのワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドといった感じ。

また、役者陣も素晴らしい。
ゴッドファーザーの出演者はモノマネによせずに、その人の存在感や佇まいを似せているため、本当にアルパチーノやマーロン・ブランドを見ているよう。
更に、裏方陣も素晴らしい。
パラマウントのエグゼクティブはとても愛着が持てるキャラクターばかりなのだが、最大の魅力はジュノー・テンプル演じるベティだろう。
歴史的には名前が表に出ないが、自分のプライドと目標をもって作品に奉仕した多くの人々をジュノーの好演により代弁されていた。

物語は映画作りと並行して実際のギャングの抗争に巻き込まれる展開になるが、中盤少し中だるみ感を感じた。
しかし、後半は作品の完成に近づくにつれて、映画が作り出すマジックを、それを見る周辺の人々の表情を通して上手に描いている。
そして、最終回のプレミア上映の多幸感と終わった時の寂しさをマイルズが好演している。

映画作りを描く作品で、改めて「映画って素晴らしい」と思わせてくれた。
また、ラストにかけて各キャストの人間味が出てくる脚本がとても面白かった。