ろくちゃん

ふぞろいの林檎たちのろくちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ふぞろいの林檎たち(1983年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

1983年に放送された作品。
一話目からものすごい台詞の量で、すごい勢いで場面が切り替わる。うっかりしてるの振り落とされそうなテンポ。
会話もイタリア式本読みのような無機質さを感じる。
このリズム感の編集、会話中に外の環境音が急に大きくなる感じ、急な真上からのカメラ。めっちゃエヴァを想起させる。
中井貴一演じる仲手川のウジウジ加減も碇シンジっぽい。

物語は4流大学の学生がヒエラルキーやコンプレックスと戦いながら、社会に出ていこうとするもの。ただ、あくまでもホームドラマで各々の家庭の状況までしっかり描かれている。

しかし、仲手川で風俗で泣きながらマッサージしてもらうシーンなど、ホームドラマとは思えないようなショッキングなシーンもある。
また、そのマッサージ嬢である高橋ひとみ演じる夏恵と東大卒の本田くんの割り切った不思議なカップルも面白い。

ショッキングなテーマを扱いつつも登場人物全員がチャーミングであり、ついつい好きになってしまう。
全員がハマり役で、とても魅力的に演じている。全然知らなかったけど、石原真理子が素晴らしかった。

ところで、登場人物は卑屈に感じているが、とりあえず大学に入って東京や京都(都市部)に家があり、容姿も悪くない。
そんなに悪い状況でもないと思えるが、日本は80年代から徐々に格差が拡大したらしい。バブルの波に乗れなかった側のドラマと言えるのかもしれない。