2013〜2014年のBLACK LIVES MATTER勃発後も後をたたなかった警官による黒人殺しのひとつ、ボルチモアのフレディ・グレイ事件あたりのボルチモア警察の腐敗を描いたドラマ。警察の腐敗はまあ当然のように起きているアメリカなので主役たちが何年牢屋に入れられようが知ったことではないが（それで溜飲が下がるようにこのドラマも作られていない）、面白いのは正義を実践しようとしている司法自体がその構造を作ってしまっているという大きな矛盾で、終盤に黒人の若者が司法省からやってきた人権派のニコルに対してカフェで言うように、いくら新しい法になろうと、黒人は腐敗し続ける警察のターゲットであることに変わりはなく、2020年以降のBLMで警察の予算削減や解体へと目標がラディカル化した背景を、2022年製作のこの作品はおそらく意図的に描いている。
しかしこういう骨太の実話を、銃も麻薬も出てこないのでスケールも面白みもガクッと下がるだろうが、例えば日本の官僚あたりで描けないものかね〜。森友問題とか、オリンピックとか、ジャニーズ（？）とか、いくらでもネタはあるぜよ。
